TOP HISTORY 15年の軌跡 リレーコラム

山本アンバサダーコラム

レノファの母体となった県サッカー教員団でDFとして国体に3度出場。1990年から16年間は監督を努め、チームを天皇杯に4度導いた。2006年のレノファ山口設立のメンバーの一人で、現在もクラブの「アンバサダー」としてホームゲームの運営やPR活動に携わる。2021年4月、取締役に就任。教師としては萩商工高、下関商業高、西京高の校長などを歴任し、山口高時代はレノファの河村孝社長の担任を努めた。選手たちとも親交が深く、オフは一緒に出かけることも。

最終話 2020年

霜田監督体制3年目
コロナ禍でのリーグ開催
最下位に沈むも降格なし

 J2リーグ参入5年目を迎えたレノファ2020年シーズン、チームは例年より早く1月7日から始動し14日には山口大神宮での必勝祈願を行いました。19日に開かれた新体制発表会においてスローガン「GO CRAGY 昇格に狂いたまえ」が発表され、キャプテンには10番を背負うMF池上丈二選手、副キャプテンにベテランのDF菊地光将選手そして若きハードワーカーMF高宇洋選手が就任しリーグに挑んでいくこととなりました。

2020シーズン選手&監督

 1月23日からスタートしたタイキャンプを2月9日に打ち上げ、その後開幕までの2週間でチーム戦術のさらなる浸透を図り開幕を迎えました。8424人が詰めかけた京都サンガF.C.との開幕戦はオール・レノファで1-0のクリーンシートを達成し歓喜の”ヤマグチ一番”が大きく響きました。スタメンはGK吉満大介(現/レノファ山口)、武岡優斗(引退)、菊地光将(現/レノファ山口)、サンドロ、へ二キ(現/レノファ山口)、池上丈二(現/レノファ山口)、高宇洋(現/J2アルビレックス新潟)、安在和樹(現/J2東京ヴェルディ)、森晃太(現/J3福島ユナイテッド)、イウリ、高井和馬(現/レノファ山口)選手の11名、ベンチメンバーにはGK山田元気(現/レノファ山口)、ヘナン(現/レノファ山口)、村田和哉(引退)、清永丈瑠(現/J3ガイナーレ鳥取)、吉濱遼平(現/J3岐阜)、佐藤健太郎(現/レノファ山口)、小松蓮(現/レノファ山口)選手ら7人。前年11月16日のホーム最終戦メンバーでこの日先発したのはGK吉満大介選手とMF池上丈二選手だけでした。ゲームは前半12分にキャプテン池上丈二選手が迷い無く右足を振り抜いたシュートが相手GKのキャッチの難しさも誘いレノファの2020シーズン初ゴールとなりました。池上丈二選手は開幕戦をスタメンで迎えるのも初でした。この先制点をアドバンテージとして時間帯に応じた戦い方を演じ見事に勝ち点3をつかみ取りました。全選手が献身的なプレーをやり続け、特に最前線のイウリ選手の頑張りは攻守の推進力を高めていました。

2020年開幕戦勝利後、選手・監督たちの円陣

 開幕戦勝利の勢いを関門海峡ダービーとなる第2節ギラヴァンツ北九州戦に、と期待していた2月25日にJリーグは新型コロナウィルスの感染拡大を受け3月15日までに予定していた全公式戦の開催延期を決定しました。この決定を受け入れ感染予防策を徹底しながら再開に向けて準備をしていくこととなります。その後Jリーグは再開の延期再延期と中断が長引き、緊急事態宣言が解除され新しい生活様式を実践していく中、J2リーグ再開は6月27日からと決定し、対戦カードは全て組み直されリモートマッチ(無観客試合)も開催されることになりました。またJ2リーグは上位2チームがJ1へ自動昇格、J1参入プレーオフなし、J3降格なし等の「特例ルール」の適用が発表されました。6ヶ月という短期間での過密日程、とりわけハードな5連戦が6度組み込まれました。猛暑による熱中症対策・コロナ感染防止対策・アウェー試合での移動負担・累積警告等の出場停止などに対応対策しつつ各チームとも総力戦となってきます。
 6月27日、リーグ再開初戦となったファジアーノ岡山との一戦は京都戦からスタメン変更がありサンドロ選手にかわり楠本卓海選手がDFラインに入りました。試合立ち上がりからイウリ、高井和馬両選手が攻守に躍動しともに1ゴール1アシストと存在感を示し2点先取しましたが、圧力をかけ続ける岡山の攻撃力を押し返すことができずに2失点を喫して悔しさと課題を残す結果となりました。

新型コロナウィルスの感染拡大以降は入場者数にも制限がもたれた。

 その後10試合は2勝1分け7敗となかなか勝ち点を積み上げることができずに苦しい戦いが続きました。そうした中、第8節首位を独走するV・ファーレン長崎をホームに向かえての一戦で河野孝汰選手が高宇洋選手とのワンツーパスで抜けだしゴールネットを揺らしJ2リーグ歴代最年少ゴール記録を16歳11ヶ月7日と更新しました。今後も努力を重ね着実に成長してくれることを期待しましょう。

J2リーグ歴代最年少ゴールを決めた河野選手

 9月23日、東京ヴェルディ戦。2―1で競い勝ち8試合ぶりの勝利にみらスタは笑顔満載の夜となりました。浮田健誠選手が得意の左足を振り抜き2ゴール、GK吉満大介選手のPKストップは元気・勇気・感動をもたらしてくれました。それから4日後敵地に乗り込みジェフユナイテッド千葉との雨中での戦いは高井和馬選手と小松蓮選手がネットを揺らし2-1で勝利し今季初の連勝、攻守に躍動した橋本健人選手(慶應義塾大学在学中)にも大きな期待が膨らむ試合となりました。
 上昇を懸けて臨んだ後半戦も失点を重ねるゲームが続き第28節の徳島ヴォルティス戦から第38節のヴァンフォーレ甲府戦までの11試合は勝ち無し(1分10敗)、中でも第32節のFC琉球戦(この敗戦で順位は最下位22位に沈む)から第38節のヴァンフォーレ甲府戦まで7連敗ととても厳しい結果となりました。最終盤の4試合は2勝2敗と頑張りましたが時すでに遅し、年間成績は9勝6分け27敗/勝ち点33、得点43・失点74(得失点―31)と大きく沈み最下位に終わりました。悔しさ一杯、勝利をつかむことが難しく過酷なシーズンの幕は閉じ霜田正浩監督の退任発表がありました。3年間、レノファ・イズムを創出してくれた霜田監督に感謝!

 最下位という現実を受け止めながらも「逆境に悲観することなく」、前進あるのみです。コロナ禍で過酷な日程となったリーグも無事全日程が終了し、J2に関しては安定感のある試合運びと勝負強さが際立っていた徳島ヴォルティスとアビスパ福岡がJ1へ昇格、ブラウブリッツ秋田とSC相模原がJ2初昇格を決め次年度全22チームの顔ぶれもそろいました。2021シーズンはJ3への降格は4チームと決定しており前年度戦績でいえばレノファ山口は降格最有力候補ということになります。その巻き返しの命運を懸けJ1ベガルタ仙台で6年間に渡り監督を務めた経歴実績を持つ“情熱あふれる“渡邉晋新監督の就任発表がありました。12月23日にはバーチャルファン感謝祭があり選手たちのトークショーを楽しむと同時にコロナ禍で多くのものが見え新たに感じたこともあります。一日も早く不安無くスポーツを楽しむことができる日が訪れることを願っています。

 宮成→月岡→河村→中山→上野→猿澤→マジョール→霜田→渡邉監督へと熱き志は脈々と受け継がれレノファ山口の挑戦は歩みを止まることなく続いています。山口県サッカー教員団からレノファ山口創設、そしてレノファ山口創成期から15周年、そして未来へ。これまでクラブを支えてくださっているファン・サポーターやボランティア、スポンサー企業、マスメディア関係、地域の皆様などすべての方々のおかげでこうして成長を続けられていることに心より感謝申し上げます。引き続きレノファ山口に対するご支援ご声援よろしくお願いいたします。
2月から2週間ごとに掲載となりましたレノファ15周年記念特別コラムも本号が最後となりました。約6ケ月、拙文にお付き合いいただきありがとうございました。2021シーズンの佳境に入る残り16試合での勝利を願いつつ筆を擱くことといたします。皆様に感謝!!

2021年8月28日 モンテディオ山形戦の勝利後に選手と喜びを分かち合う筆者・山本

第14話 2019年

霜田監督体制2年目の挑戦
若手主体で戦い15位
坪井慶介選手引退!

 1月20日に新体制発表会が開かれ2019年チームスローガンは「オレンジソウル 山口を魂で染め上げろ」に決定、キャプテンは2年連続で三幸秀稔選手、副キャプテンには前貴之選手が就任しました。大阪体育大学から加入した”熱き男”菊池流帆選手はじめ新加入選手たちを含めた27人のレノファ志士たちは山口大神宮での必勝祈願から始動しトレーニングスタート、アジアカップに出場していたウズベキスタン代表のドストン選手はキャンプから合流することになります。タイキャンプも前年度は8日間でしたがこの年は13日間となりました。

2019シーズン選手&監督

 開幕前にはJ1のサンフレッチェ広島、そしてセレッソ大阪とプレシーズンマッチを2試合戦い、選手たち全員がピッチに立ち攻守においていろんな組み合わせが試されていました。
2月24日、2019シーズンが開幕。ホームみらスタに8440人のファン・サポーターの大声援が響く中スタメン発表、GK吉満大介(現/レノファ山口)、楠本卓海(現/レノファ山口)、ドストン(現/韓国リーグ)、前貴之(現/J2松本山雅)、瀬川和樹(現/関東・クリアソン新宿)、三幸秀稔(現/J1湘南ベルマーレ)、吉濱遼平(現/J3FC岐阜)、田中パウロ淳一(現/J2松本山雅)、佐々木匠(現/J1ベガルタ仙台)、山下敬大(現/J1サガン鳥栖)、高井和馬(現/レノファ山口)選手の11名、ベンチメンバーにはGK山田元気(現/レノファ山口)、菊池流帆(現/J1ヴィッセル神戸)、マルシーリオ(シーズン途中レノファ山口退団)、鳥養祐矢(現/J2琉球)、小野原和哉(現/ポルトガル)、高木大輔(現/レノファ山口)、工藤壮人(シーズン終了後レノファ山口退団)選手ら7人のコールが響き渡りました。
 開幕勝利を懸けて挑んだ柏レイソル戦、ゲームの入りは良かったのですがクリスティアーノ選手にネットを揺らされ1-2と悔しい逆転負け。先制点を挙げた吉濱遼平選手の左足を振り抜いた技ありゴールは見事でした。(柏レイソルのスタメンには小池龍太選手(現/J1横浜Fマリノス)、そして田中陸選手(現/レノファ山口)、村田和哉選手(2020シーズン後、レノファ山口で引退)が途中交代で出場していました。なお田中陸選手はこの試合がJリーグデビュー戦でした。)

 開幕2連敗後、ジェフユナイテッド千葉のホーム「フクダ電子アリーナ」に乗り込んで初勝利を懸けての戦いとなった戦いはレノファ・アタッカー陣が躍動し5-2で勝利し勝ち点3を獲得。瀬川和樹選手の左サイドからのクロスで先行、後半はゴールの奪い合いとなりゲームが激しく動き最後まで勝敗の行方が読みにくい流れとなりましたが左サイドを席巻した瀬川選手、2戦連続弾の山下敬大選手、そして交代で入った田中パウロ淳一・高井和馬両選手がしっかりと役割を果たし勝利を手繰り寄せました。工藤壮人選手の攻守における存在感はとても大きく、攻撃時にトップで起点になるプレーはもちろんのこと守備面においての貢献度も高くピッチ全体で若きレノファ選手たちに落ち着きをもたらしていました。

2019シーズン初勝利は5ゴールを奪い快勝

 次節以降は期待に反してチームはなかなか波に乗れず失点を重ねるゲームが続き、5月25日第15節の京都サンガ戦を0―2で落とし順位は21位に沈みました。しかし第16節/水戸ホーリーホック戦から21節/町田ゼルビア戦までの6試合を負けなしの4勝2分けとしぶとく戦い抜き15位まで盛り返して後半戦に突入することとなりました。

 前半戦最終節となった7月7日の町田ゼルビアとの一戦は3-0の完封勝利、七夕にオール・レノファの願いが叶い3連勝を飾りヤマグチ一番が響き渡りました。全員がハードワークして大きなサイドチェンジを織り交ぜ横幅を広く効果的に使いながら決定機を創出し前半から試合の主導権を握り得点時間も36分、64分、86分と相手に圧力をかけるには申し分ない流れとなり、特に高井和馬選手の鋭い切り返しからの技あり先制ゴールは見事でした。(前半戦21試合は7勝5分け9敗の勝ち点26)

第21節FC町田ゼルビア戦、高井和馬選手の先制ゴール

 後半戦は1分け3敗と苦しいスタートとなり、勝利を挙げたのは8月4日の水戸戦です。見事に1―0のクリーンシートを達成しました。
 翌週は連勝を懸けて日立柏スタジアムに乗り込み首位・柏に真っ向勝負を挑みましたが個の力、特に4人の外国人選手には攻守において圧倒的な力の差を見せつけられて4失点を喫し完敗。しかし新戦力としてジュビロ磐田から加入した石田崚真選手がゴールを決め期待を抱かせてくれました。同じく夏の移籍で加入してきた高宇洋選手(ガンバ大阪から)、宮代大聖選手(川崎フロンターレから)たちはスタメン選手として活躍し続けました。
 柏戦から4日後の天皇杯2回戦(1回戦は2―1でFC琉球に勝利)ではセレッソ大阪に挑みましたが、強烈なミドルシュート2本とJ1チームの総力に屈して0-3で完敗、この年も4回戦進出は叶いませんでした。ゲーム後には夏の移籍でチームを離れる高木大輔選手と鳥養祐矢選手がファン・サポーターにあいさつ、涙の旅立ちとなりました。

 苦しい戦いが続く中、J2残留を確定させたのは10月27日第38節です。ホームみらスタでジェフユナイテッド千葉相手にシーズンダブル達成となりました。前後期戦ともに得点者が高井和馬、田中パウロ淳一、山下敬大選手というのも不思議なものです。立ち上がりからの激しい打ち合いとなり3-2と先制し逆転を許し再逆転するというしびれる維新劇場を観劇することができました。これでホーム4連勝となり秋の夕暮れ時”ヤマグチ一番”は一段と盛り上がりました。
 直近5試合は負けなしと好調を維持して迎えた最終盤の4試合。残念ながらファン・サポーターの期待を裏切る厳しい結果となりました。
 特に11月24日の最終戦は徳島ヴォルティスに0-3と完敗を喫して15位でシーズンを終えることとなりました。年間成績は13勝8分け21敗/勝ち点47、得点54・失点70(得失点―16)。
 徳島戦では90分間坪井慶介選手がプレーし、最終ラインから常に大きな声で指示を出し守備網を統率している姿からは18年間の経験値を感じ取ることができました。坪井選手、本当にお疲れさまでした。そして2年間、ありがとうございました。

ホーム最終戦、試合後に行われた坪井選手引退セレモニー。ホームゴール裏で記念撮影。

 最終戦の翌日には霜田正浩監督の続投が報じられました。12月1日にファン・サポーターが選手たちと楽しい時間を共有したファン感謝祭そしてシーズン報告会を終えレノファ山口の2019シーズン全日程が終了。その後順次、2019シーズンを戦った多くの中心選手たちの移籍や退団が発表されました。2020年シーズンJ2のチーム構成として松本山雅とジュビロ磐田がJ1から降格、J2全22チーム中12チームがJ1経験チームであり年々厳しいリーグになってきていますが、臆することなくひるむことなくレノファ山口の挑戦は続きます。

第13話 2018年

霜田監督体制スタート
前半戦を2位で折り返し
J2参戦後、最高順位8位フィニッシュ!

 1月13日雪が舞う山口大神宮において必勝祈願を行い、その翌日から全体練習がスタートしました。21日には契約更新選手16名、新加入選手9名そして新コーチ陣も加わり霜田正浩監督率いる新体制発表会が開催され選手たちは会場を埋め尽くした多くのファン・サポーターに活躍を誓いました。2018年シーズンのスローガンは「蹴球維進2018」、そして主将を務めるのは三幸秀稔選手、副主将は渡辺広大・福元洋平両選手と発表されました。

2018シーズン選手&監督

 22日から熊本市内でキャンプイン、今季初のトレーニングマッチとなった福岡大学戦での山下敬大選手の2ゴールは前線・中盤の選手たちに大きな刺激を与えポジション争いも徐々に激しくなり始めてきました。1月29日から2月7日まではタイでの2次キャンプ、暖かいタイではトレーニングマッチも4試合組まれチーム戦術の連携浸透が図られていきました。
 また、開幕前におこなわれたマスコット総選挙2018ではレノ丸が躍動し、見事2位(2017年3位)となり、2月10日に行われた富士ゼロックス・スーパー杯会場となった埼玉スタジアムで満面の笑みを浮かべ存在感を示していました。
 2月18日にはJ1サンフレッチェ広島とプレシーズンマッチを戦い、ホーム開幕戦一週間前にサポーターの大声援を受けながらプレーし、選手たちはみらスタの雰囲気を体感しました。

 2月25日、霜田監督率いる新生レノファの開幕戦は鮮やかなゴールラッシュ。7456人のファン・サポーターがみらスタをオレンジ色に彩り大声援を送り続け4-1で勝利し勝ち点3を獲得、“ヤマグチ一番”の大合唱が響きわたりました。スタメンはGK藤嶋栄介(現/J2モンテディオ山形)、坪井慶介(2019シーズン終了後レノファ山口で引退)、渡辺広大(現/J2ザスパクサツ群馬)、前貴之(現/J2松本山雅)、瀬川和樹(現/関東・クリアソン新宿)、三幸秀稔(現/J1湘南ベルマーレ)、佐藤健太郎(現/レノファ山口)、オナイウ阿道(現/フランス・トゥールーズFC)、大崎淳矢(現/J3カターレ富山)、高木大輔(現/レノファ山口)、小野瀬康介選手(現/J1ガンバ大阪)の11名、ベンチメンバーにはGK山田元気(現/レノファ山口)、廣木雄磨(現/J2ファジアーノ岡山)、福元洋平(引退)、鳥養祐矢(現/J2琉球)、丸岡満、山下敬大(現/J1サガン鳥栖)、岸田和人(現/レノファ山口)選手の7人。まずは開始2分オナイウ阿道選手がシーズンファーストゴールでネットを揺らし、続いて高木大輔選手がJ2通算100試合出場となるゲームでメモリアルゴールを決めスタジアムを沸かせました。後半も攻撃の手を緩めることなく縦横無尽に躍動した小野瀬康介選手、新主将・三幸秀稔選手がゴールを重ね4得点。霜田正浩監督が就任当初から話している「レノファはこうやって勝つんだ」という情熱が伝わってくるゲームとなりました。開幕から3連勝、オナイウ阿道・小野瀬康介両選手が連続して月間MVPを受賞するなどチームは好調を維持して勝ち点を積み上げていきます。第21節を終えて順位は2位(第19節の徳島戦勝利後には首位)と上位につけシーズンを折り返しました。

オナイウ阿道選手や高木大輔選手など新加入選手の活躍で開幕戦を勝利

 しかしチームは第20節で岐阜に2-2で引き分けて以降、勝ち星から見放されることとなります。7月29日の第26節町田戦が台風の影響をうけて中止、順延されることになりました。台風12号が通り過ぎ安堵していたところに、ジェルソン選手のインドスーパーリーグチームへの移籍、そして小野瀬康介選手がJ1ガンバ大阪へ完全移籍となりました。ホームでの町田戦がおそらくレノファでの最後の試合になっていたであろう小野瀬康介選手とジェルソン選手の姿を見ることができなかったことはとても残念でした。
 2選手がチームを離れる一方、東京ヴェルディから高井和馬選手、名古屋グランパスを退団していたワシントン選手、札幌からジュリーニョ選手が新戦力として加わりました。
 8月26日、気温33度を超える暑さの中での激闘となった第30節の大宮アルディージャ戦はこのシーズンでの最多得点試合(8点)となりました。オナイウ阿道選手が初のハットトリックを達成しましたが、終了間際に同点ゴールを決められ4-4という壮絶な打ち合いにピリオド、これで10試合勝ち無しとなり苦しく長いトンネルでの迷走は続きます。攻撃の推進力を高め始めているジュリーニョ選手の常にシュートを意識しているプレー、そして高井和馬選手の見事なアシストパス2本は視野の広さや技術の高さが発揮されており、今後に期待が膨らむ雰囲気にはなってきています。
 9月30日、アウェーに乗り込んでの横浜FC(横浜の中盤には佐藤謙介選手(現/レノファ山口)がいました)との一戦は15試合ぶり(6月16日の徳島戦勝利後、7分7敗と苦しみ約3か月間14試合勝ち無し)に勝利を挙げ、歓喜のヤマグチ一番が横浜の夜空に響きました。サポーターの顔を流れていた勝利の嬉し涙、そして選手・スタッフたちは安堵と喜びの笑顔に包まれていました。上位を走る横浜FC相手にゲーム開始直後に高木大輔選手が電光石火の先制ゴール、後半早々に同点とされましたがJリーグデビュー戦となったDF楠本卓海選手が強烈ヘッドで勝ち越しゴール、高速カウンターからMF山下敬大選手がオール・レノファの魂を込め左足を振り抜きネットを揺らしたプレーは圧巻でした。同級生ファイブのオナイウ阿道・高木大輔・山下敬大・丸岡満・楠本卓海選手たち、そしてさらに若いヘナン選手(現/レノファ山口)、高橋壱晟選手(現/J2ジェフ千葉)の活躍がますます楽しみになってきた試合でした。

Jリーグデビュー戦となったDF楠本卓海選手の勝ち越しゴール

 横浜FCに勝利してからの7試合を3勝1分3敗で戦い抜き順位も13位から9位に上がってきました。そして迎えた11月17日、シーズン最終戦となったアウェーでの新潟戦は攻守にベストパフォーマンスを見せて次季につながる価値あるゲームとなりました。守備と攻撃を切り離すことはないというレノファらしさが凝縮された高井和馬選手の先制ゴール、そして後半立ち上がりの山下敬大選手の追加点。DF・MF・FWの距離感の良い連携からダイレクトパスを駆使し縦に速い攻撃からの2得点、そしてオナイウ阿道選手の相手DFを翻弄する見事な2アシスト、守備ではGK吉満大介選手を中心に体を張り粘り強く守り抜きクリーンシート達成。シーズン42試合を戦い抜いてきたレノファ志士たちの笑顔は最高でした。

 レノファはJ2参入3年目にして8位という1桁順位(16勝13分13敗/勝ち点61/得点63、失点64)でシーズン終了、またレノファの攻撃を活性化し続けたオナイウ阿道選手が22得点で得点ランキング2位となりました。
 12月9日に開催されたファン感・レノファ学園大運動会はたいへん盛り上がり、選手たちのファン・サポーターの皆さんに向けて感謝の気持ちが満ちあふれていました。そして夜にはシーズン報告会が開催され2018シーズンの全日程が終了となりました。
霜田レノファで挑む2019シーズンに向けて”我が町にはレノファ山口あり”、レノファの高みを目指す挑戦は続いていきます。

2018シーズンのホーム最終戦 セレモニーの後サポーターへご挨拶

第12話 2017年

J2昇格2年目の厳しさ 残留争いに巻き込まれ監督交代! 上野(15試合)~猿澤(2試合)~マジョール(25試合)

  多くの選手の入れ替わりがあり「志 心ひとつに」をチームスローガンに掲げ上野監督体制4年目がスタートしました。1月18日からは宮﨑キャンプを10日間、渡辺広大・小塚和季・小野瀬康介・佐藤健太郎・池上丈二選手ら新加入の13名を含め選手たちは寝食を共にする環境下、ピッチ内外において積極的にコミュニケーションを図り、シーズンを戦い抜くための体力強化、チーム戦術の理解と浸透、連携強化、個々のアピールに取り組みました。キャンプ4日目には主将に鳥養祐矢選手、副主将には渡辺広大選手と三幸秀稔選手という発表がありました。続く熊本県での2次キャンプではTMを2試合行い、2月13日からは宮﨑県綾町で3次キャンプを行いシーズン開幕に向け最終仕上げ。2月19日に行われたJ1サンフレッチェ広島とのプレシーズンマッチは1-4で敗れ多くの課題が出ましたが、新加入選手たちが多い中、一番の収穫はホーム維新でレノファサポーターの熱い志を感じながらピッチでプレーすることができたということでしょう。J2リーグ2017シーズンは11月19日まで長丁場の戦いを繰り広げることになります。

2017シーズン選手&監督

 2月26日、新生レノファの開幕戦はアウェーでFC岐阜に挑み2-2のドロー。スタメンはGK山田元気(現/レノファ山口)、前貴之(現/J2松本山雅)、渡辺広大(現/J2ザスパクサツ群馬)、福元洋平(ヴェルスパ大分で引退)、香川勇気(現/J1大分トリニータ)、三幸秀稔(現/J1湘南ベルマーレ)、小塚和季(現/J1川崎フロンターレ)、清永丈瑠 (現/J3ガイナーレ鳥取)、高柳一誠(現/沖縄SV)、岸田和人(現/レノファ山口)、小野瀬康介選手(現/J1ガンバ大阪)の11名、ベンチメンバーにはGK吉満大介(現レノファ山口)、宮城雅史(現/J3テゲバジャーロ宮崎)、鳥養祐矢(現/J2琉球)星雄次(現/J2アルビレックス新潟)、米澤令衣(現/J3鹿児島ユナイテッド)、佐藤健太郎(現/レノファ山口)、池上丈二選手(現/レノファ山口)ら7人。【対戦相手の岐阜にはへニキ選手(現/レノファ山口)と田中パウロ淳一選手(現/J2松本山雅)がいました。】前半2点リードするも追いつかれ何とか勝ち点1を取ったという試合でした。エース岸田和人選手の2得点、GK山田元気選手の魂のこもったプレー、ルーキー清永丈瑠・池上丈二両選手が開幕戦でデビューしました。

大卒ルーキーで開幕戦に出場した池上選手

 第2節から3連敗、第10節から3連敗となかなか波に乗れず苦しい戦いが続きました。第15節のモンテディオ山形戦も2―3と競い負け。厳しい結果となりましたが、待ちに待っていた和田昌士選手(現/J2SC相模原)のJリーグ初ゴールと大石治寿選手(現/J3藤枝MYFC)のJ2リーグ初ゴールは本当に嬉しかったです。リーグ戦も第15節を終え20位と低迷。2勝4分9敗、勝ち点10単純計算すると10点✕3で年間勝ち点は30点、となると・・・。

 海峡の町・下関での今季初ゲームとなる第16節町田ゼルビアとの戦いを控える5月23日、上野展裕監督の交代劇がありました。上野監督にはレノファJFL時代から約3年半指揮を執っていただきレノファ城の礎を作っていただきました。感謝!今一度チーム名の由来をレノファに関わるすべての人たちが再確認してのスタートとなりました。新監督が指揮するまでの2試合は猿澤真治監督のもと戦いました。町田ゼルビア戦は0―1で負けました(順位は22位となる)が、スタメン・サブメンバー・登録外メンバー・スタッフの全員が一丸となって戦う姿勢や気持ちが強く伝わってきました。加藤大樹選手(現/J2モンテディオ山形)が初スタメンフル出場、池上丈二選手が初スタメンを果たしました。6月3日アウェーでの横浜FCとの一戦、選手・スタッフ全員が一丸となり勝利を貪欲に求め強い気持ちを持って闘いましたが残念ながら0―1で敗戦。視察に訪れていた新監督(このゲーム時点では未発表)の姿もありました。

 そして6月6日カルロス・アルベルト・マジョール新監督就任が発表されました。発表会場は大きな期待感とチーム一体という温かい雰囲気に包まれていました。マジョール監督初采配となるゲームはファジアーノ岡山に0―1で負け。6月21日天皇杯1回戦はザスパクサツ群馬に負けこの結果、リーグ戦に集中するのみとなります。

シーズン途中で就任したマジョール監督

 マジョール監督が指揮を執った25試合は9勝1分15敗となかなか浮上できず讃岐・熊本・群馬、そしてレノファの4チームで最終節まで残留争いを繰り広げることとなりました。夏の移籍期間には香川勇気選手(現/J1大分トリニータ)がVファーレン長崎に、岡本英也選手(現/JFL:MIOびわこ滋賀)が長野パルセイロに完全移籍をしました。
 マジョール監督・ペラルタコーチ・エスクデロ通訳と3人のアルゼンチン人スタッフが並んでいるベンチを見て、改めて”山口にプロ・サッカーチームあり”と実感。と同時にチームが上昇気流に乗っていくためには監督と選手・コーチ陣とのコミュニケーション、双方向の意思疎通がとても重要になってくるなと感じました。

 11月12日アウェー最終戦となった町田ゼルビアとの一戦は星雄次選手がネットを揺らして1-0の勝利、選手たちが体を張り続け意思統一された守備力が勝利をたぐり寄せました。FW大石治寿・岸田和人両選手の攻守わたる献身的なプレーは随所においてアクセントを与えていました。そして何と言っても小塚和季選手の蝶のように舞いDFをかわしてのアシストプレーはスローインを受ける前からの一連の動きが見事でした。今でも目に焼き付いています。

 11月19日いよいよ維新劇場最終幕、2017シーズンメンバーで戦うラストゲームでありJ2残留を懸けた大一番となりました。スタメンはGK村上昌謙(現/J1アビスパ福岡)、宮城雅史(現/J3テゲバジャーロ宮崎)、渡辺広大(現/J2ザスパクサツ群馬)、星雄次(現/J2アルビレックス新潟)、廣木雄磨(現/J2ファジアーノ岡山)、アベル・ルシアッティ、佐藤健太郎(現/レノファ山口)、小塚和季(現/J1川崎フロンターレ)、大石治寿(現/J3藤枝MYFC)、岸田和人(現/レノファ山口)、小野瀬康介選手(現/J1ガンバ大阪)の11名、ベンチメンバーにはGK山田元気(現/レノファ山口)、前貴之(現/J2松本山雅)、鳥養祐矢(現/J2琉球)、パク・チャニョン、加藤大樹(現/J2モンテディオ山形)、和田昌士(現/J2SC相模原)、レオナルド・ラモス選手の7人。シーズン開幕当初からJ3降格という崖っぷち状態を戦い続けてきた中、愛媛との最終戦を1-1で引き分け20位(勝ち点38)、自力残留を決めました。終盤のラスト5試合を3勝1分け1敗と粘り強く戦い勝ち点を積み上げ降格圏脱出、J2リーグ3季目となる2018年に期待を抱かせてくれる戦いとなりました。しかし前年シーズンの12位から大きく後退し平均入場者数も1000人以上の減少、やはりチーム成績は入場者数に大きく影響するという結果を受け止める必要もあります。

2017シーズン最終戦、大石選手のゴール

 多くのファン・サポーターが選手たちと触れあい楽しい時間を共有したファン感謝祭(常にファン・サポーターを大切にする熱きリーダー渡辺広大選手の存在は大きいですね)そしてシーズン報告会を終え全日程が終了しました。その翌日には霜田正浩新監督就任の発表があり、「レノファらしい躍動感あふれるサッカーをしたい。戦う選手の情熱が見ている人に伝わるような試合をしたい。」との監督コメント。期待するとともに来季のチーム編成や戦い方がとても楽しみになってきました。ヴァンフォーレ甲府とアルビレックス新潟と大宮アルディージャがJ1から降格、湘南ベルマーレとV・ファーレン長崎と名古屋グランパスがJ1昇格、ザスパクサツ群馬のJ3降格、栃木SCのJ2昇格(J2ライセンスを持たないJ3秋田の優勝により昇降格は1チームのみとなる)が決定しました。

 シーズン通して降格圏脱出を争うレッドラインで苦しみましたが、次シーズンへの活躍期待値が倍増するように霜田正浩新監督そして名塚善寛コーチと土肥洋一GKコーチの就任、選手の契約更新、移籍等の発表が続きました。そんな中、元日本代表選手でもある坪井慶介選手が湘南ベルマーレから完全移籍加入という発表がされました。1999年11月28日維新スタジアムで第79回天皇杯全日本サッカー選手権1回戦レノファの前身である山口教員団対福岡大学のゲームが行われ、結果は2-3延長Vゴールで教員団は惜敗しました。対戦チーム福岡大学の中心選手として坪井選手が躍動していたことが思い出されます。山口教員団そしてレノファと戦ってきた坪井慶介選手がオレンジのレノファ志士に!感慨深いものがあると同時に胸の高鳴りが大きくなってきたのを覚えています。維新劇場の舞台も新たに「維新みらいふスタジアム」と命名されました。この一年間逆境に苦しみ耐えた経験を糧としてレノファ山口は創設13年目シーズンの新たな戦いに挑んでいきます。

第11話 2016年

上野監督体制3年目   強豪ひしめくJ2リーグに挑む!   勇猛果敢に戦い12位でフィニュシュ!!

 Jリーグクラブでは毎シーズン、選手たちの移籍や退団、新加入があります。各クラブともに監督・コーチ・選手の入れ替わりがありファンやサポーターは一人ひとり悲喜こもごものシーズンオフを経験することとなります。碇野壱馬選手の引退や小塚和季選手の新潟への復帰、池永航選手はじめ多くの選手たちがチームから離れました。新戦力としてガイナーレ鳥取から中山仁斗選手(現/J2水戸ホーリーホック)と安藤由翔選手(現/J3カターレ富山)、福島ユナイテッドから星雄次選手(現/J2アルビレックス新潟)、韓国からユン・シンヨン選手、三幸秀稔選手(現/J1湘南ベルマーレ)らが入団。大学からは奥山政幸選手(現/J2町田ゼルビア)、篠原宏仁選手(現/JFLヴェルスパ大分)が加入。シーズン開幕に向け着々とチーム作りは進められ2月には宮崎キャンプが9日間行われました。最初のトレーニングマッチとなった横浜F・マリノスとの一戦は、とても興味深く見応えのあるゲームだったことを覚えています。2016年シーズンのJ2はレノファ山口と町田ゼルビアがJ3から昇格、J1から降格した松本山雅・モンテディオ山形・清水エスパルスの3チームを含め全22チームで42節を戦うこととなります。

2016シーズン選手&監督

 2月28日ホーム維新での開幕戦、対戦相手は中国ダービーとなるファジアーノ岡山。ファジアーノ岡山は、山口県出身岩政大樹選手がDFラインを統率し個の強さ・空中戦をベースに堅守を誇っています。J2昇格初年度の戦いを占う意味においても重要な試合でした。スタメンに名を連ねたのはGK一森純(現/J1ガンバ大阪)小池龍太(現/J1横浜F・マリノス)北谷史孝(現/J2ヴァンフォーレ甲府)宮城雅史(現/J3・テゲバジャーロ宮崎)香川勇気(現/J1大分トリニータ)鳥養祐矢(現/J2琉球)福満隆貴(現/J2ジェフ千葉)庄司悦大(現/J2京都サンガ)望月嶺臣(引退)島屋八徳(現/J2レノファ山口)岸田和人(現/J2レノファ山口)選手たち11名のオレンジの勇者、ベンチメンバーには村上昌謙(現/J1アビスパ福岡)、黒木恭平(現/J2京都サンガ)廣木雄磨(現/J2ファジアーノ岡山)、星雄次(現/J2アルビレックス新潟)、島川俊郎(現/J1サガン鳥栖)、安藤由翔(現/J3カターレ富山)、キャプテン・平林輝良寛選手ら7人。11000人を超えるファン・サポーターが集結した開幕戦でJ2初ゴールを決めたのは島屋八徳選手、後半に同点ゴールを奪われて引き分けとりましたがオール・レノファで価値ある勝ち点1をつかみ取りました。

レノファ山口FCのJ2初ゴールを決めた島屋八徳選手

 15試合が終了した時点で7勝3分5敗の戦績で7位、その後の6試合は2勝1分3敗と苦しみましたが前半戦21試合終えた時点で順位は8位をキープ、しっかりとした戦いが継続されました。

 これまでの勝ちゲーム、とりわけ4月23日のジェフ千葉戦(4―2)、5月15日のセレッソ大阪戦(4―2)、ワクワク感と感動は最高潮に達した試合となりました。チームに好調な流れを引き寄せた松本山雅戦での三幸秀稔選手からのパスに電光石火左足を振り抜いた原口拓人選手(現/JFLヴィアティン三重)の同点ゴール、ここから負けなしゲームが続きました。

 シーズン折り返しとなった後半戦初戦は7月10日。夏の維新劇場となったギラヴァンツ北九州との関門海峡ダービーは、ピッチで躍動したオレンジの志士たちにより5ゴールを奪い最高の週末となりました。幸野志有人選手(現/関東リーグ・南葛SC)の維新デビュー、先制点を決めた三幸秀稔選手、中山仁斗選手の圧巻ハットトリック、加藤大樹選手(現/J2モンテディオ山形)の魂のこもったゴール。これらを演出したのは前半から労を惜しまず全力で走り駆け上がった平均年齢23.8歳の若き選手たちです。

 8月7日、真夏のハード3連戦初戦となった町田ゼルビア戦では島屋八徳選手の技あり2ゴール、星雄次選手の逆転弾で勝利、町田市立陸上競技場に”ヤマグチ一番”が響き渡りました。

 続く8月11日に行われたセレッソ大阪戦ではクラブ史上最多入場者数14532人を記録しました。ゲームは決定力を欠き悔しい敗戦となりましたが、スポーツをする・見る・支えるという山口県ならではのスポーツ文化が確実に育ちつつあることを強く感じました。

史上最多入場者数14532人を記録したセレッソ大阪戦の試合後 サポーターへ挨拶

 天皇杯1回戦では東海大学熊本に勝利して臨んだ2回戦、レノファのJ1初挑戦となったアビスパ福岡との激闘は90分間では決着がつかず30分間の延長、さらにPK戦となり感動のラストシーンがピッチに描かれ”ヤマグチ一番”が博多の森に響きました。

 鳥養祐矢選手の先制弾、星雄次選手の延長終了間際の同点弾、守護神・一森純選手の冷静かつ闘魂セーブ。レノファ史上初の天皇杯3回戦進出を決めました。3回戦アルビレックス新潟戦、雨中での戦いは0-1と悔しい敗戦となりました。元レノファ戦士の小塚和季選手、山口県出身の田中達也選手も新潟の攻撃陣の中で存在感を示していました。J1チームと2試合戦った経験を糧とし、天皇杯4回戦進出は次年度以降に挑むこととなります。

 9月以降の11試合は1勝3分7敗、11試合のうち無得点ゲームが5試合、無失点ゲームはなしとチームは苦しみもがきながら苦難の終盤戦を戦い続けました。

 2月末から戦い続けてきたシーズン最終戦は11月20日、強い志で臨んだ水戸ホーリーホックとの一戦です。2016年メンバーで戦うラストゲームとなり、全員攻撃・全員守備を貫徹し0-2の完封勝利を飾りました。完封勝利の原動力となったGK一森純選手、DF小池龍太選手、ユン・シンヨン選手、奥山政幸選手、星雄次選手たちの頑張りも見事でした。レノファは一人が走り出せば連動して全選手が走るという走力と巧みなパスワークが発揮されたゲームでした。特に2点目はレノファの真骨頂である全力走と連続するパスワークでの福満隆貴選手のゴール。福満選手のドリブルも見事でしたが、島屋八徳選手、加藤大樹選手、小池龍太選手の3人が連動して駆け上がり相手DFを翻弄、レノファ・サッカーここにあり、持ち味を存分に発揮した最終戦となりました。

2016シーズン最終戦は水戸ホーリーホックと対戦

 J2初年度は14勝11分17敗・勝ち点53・得点55/失点63、12位で最終節を終えました。第10節終了時点では5位、第20節終了時点で8位、第30節終了時点7位、その後最終節までの12試合は2勝3分7敗と苦しみ厳しい戦いとなりましたが、レノファ戦士たちは勇猛果敢に42試合を戦い抜きました。

 シーズン後チームは来季のチーム編成に向け重要な時期となっています。サポーター・ファンにとっても日々監督・選手の去就が気になるところですが、最終戦直後には上野展裕監督の続投が報じられました。また選手たちの移籍・退団等が順次発表されており、試合観戦と同じように喜怒哀楽の日々が続きます。3年間レノファの右サイドを駆け上がり驚異的なスプリントでサポーターを魅了してきた”若き志士・小池龍太選手”のJ1柏レイソルへの完全移籍が決定しました。

 11年目のシーズンがファン感謝祭・シーズン報告会を終え全日程終了、レノファはJ2初年度を経験しチームの根は着実に張られてきており、これからは幹を成長させることとなります。

山口きらら博記念公園多目的ドームで行ったファン感謝祭では多くのサポータにご来場いただきました

 地域リーグ→JFL→J3→J2と歩み続けるJクラブ・レノファ山口の存在が地域の一体感や活性化、競技水準の向上、スポーツを支える人材の育成、マスコミ報道の増加など地域にもたらす効果は年々大きくなってきています。何よりも”夢・感動・元気”を共有できるチームとして存在していることが素晴らしいことです。

 J1昇格プレーオフ決勝及びJ2・J3入れ替え戦第2戦の結果により次シーズンJ2で戦う全22チームが決定しました。名古屋グランパス・湘南ベルマーレ・アビスパ福岡がJ1から降格、J3から大分トリニータが昇格することになり4チームが入れ替わりました。

上野監督4期目の指揮となる2017年シーズン、高みを目指してチームの挑戦は続きます。

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