

今シーズンの最終戦を迎える。レノファ山口FCはJ1昇格には届かなかったが、前節までに勝点を52にまで伸ばし、目標としてきた勝点55が視野に入った。対戦相手は自動昇格が懸かる横浜FC。それぞれの目標に向けて絶対に負けることができない大一番が最後に用意された。
相手の横浜FCとは開幕戦で対戦して以来のゲームとなる。2月24日のオープニングマッチは後半に動き、レノファは相手ゴールキーパーが蹴ったボールを高い位置で回収してペナルティーエリアに運び、9.若月大和が先制点を奪取。対する横浜FCはコーナーキックの流れからウイングバックの中野嘉大(背番号14)が押し込んで同点ゴールを挙げ、1-1のドローで閉じた。開幕戦で勝点1を得た両チームはその後は白星を積み上げて、上位に入る戦いをすることになった。
2位横浜FCは引き分け以上でJ1再昇格が叶う。ただ、直近3試合は0勝1分2敗と苦戦し、最終戦はフィニッシャーの櫻川ソロモン(背番号9)を累積警告で欠く。横浜FCを追うのが3位のV・ファーレン長崎で、勝点差は3。得失点差では横浜FCのリードは1ポイントしかなく、仮に横浜FCが敗れて長崎が勝つと入れ替わることになる。
横浜FCは引き分け以上で自力昇格、負けても長崎が勝たなければ自動昇格圏を堅持できるため、状況としては有利ではあるが、直近の状況を踏まえると確実に勝点1でも積み上げたいところだろう。堅守とスピーディーな攻撃を武器とする横浜FCが、堅守を盾に構えて試合に入るか、攻撃を前面に押し出して先にリードを取ろうとするか、彼らの出方が最初のポイントになる。
もっとも、レノファは前節と同様、前からアグレッシブに行くスタイルは変わらない。相手にボール保持の時間を与えず、前方に蹴り出すボールの質を下げさせれば、横浜FCの個の力にさらされる場面は確実に減らせる。9.若月大和は「前からのプレスが入り、相手が嫌がって蹴ったボールも回収できている。良い流れができている」と手応えを語っており、今節も試合の立ち上がりから積極的にプレスを掛けていきたい。
試合を通じて大きなカギを握るのはセットプレーだ。横浜FCのセットプレーを生かした攻撃はレノファにとって脅威。福森晃斗(同24)のキック精度は高く、今季はJ2最多のアシストをマークしている。レノファは集中して福森が蹴るボールを跳ね返し、二次攻撃、三次攻撃を受ける隙も作らないように、今度こそセカンドボールも確実に手中に収める必要がある。
レノファのセットプレーでは、古巣対戦となるボランチの8.佐藤謙介、めざましい成長を遂げている48.新保海鈴などがキッカーになる。両者とも精度は高く、アイデアは豊富だ。メンバーに選ばれれば30歳になったばかりの10.池上丈二が蹴る可能性もあるだろう。試合の流れを一変させることができるレノファ側のセットプレーにも注目だ。
試合自体は横浜FCの出方次第の部分はあるが、中盤での競り合いが続く時間と、スペースが開いてカウンターの応酬のようになる時間にくっきりと分かれそうだ。後者では特にGKの役割が重要になり、今節限りで引退する21.関憲太郎のシュートストップや前線へのフィードに期待が懸かる。
志垣良監督の体制で挑んだ2024年は、総力を合い言葉にハードワークし、レノファは上位で戦い続けた。
J1昇格プレーオフ進出こそ逃したが、J1への再昇格が懸かる横浜FCを相手に充実した試合を展開できれば、来年への期待もふくらんでくる。
最終戦は今年の集大成を見せ、夢を未来につないでいく試合になる。
さあ、最後も総力戦。スタジアムがひとつになって目標達成の勝利へと進んでいこう!
レノファで名実ともに守護神としてゴールを守ってきた21.関憲太郎が、17年のプロキャリアに別れを告げる。関は前橋育英高校、国見高校から明治大学を経てベガルタ仙台に加入し、期限付き移籍した横浜FCでプロデビューを飾った。計3クラブでリーグ戦通算273試合に出場した男の最後の舞台。運命のいたずらか、くしくも水色のフェニックスを胸に付けるデビューチームとの対戦となった。
「横浜FCで初めて出場した試合は対戦相手が東京ヴェルディで、相手のキーパーは去年までレノファでコーチをしていた土肥洋一さん(現横浜FC GKコーチ)だった。個人的に縁を感じているが、試合ではそれは片隅に置き、一つの試合と位置付けて全力でプレーしたい」
2010年9月12日の第一歩から今日に至るまで、順風に乗る時もあれば、逆風を受ける時もあった。仙台に最初に加入した2008年と09年は出場機会がなく、横浜FCでようやくゴールマウスの前に立つ機会を獲得。2013年からは8年間にわたって仙台に所属し、特に2014年は33試合に出場するなどJ1を戦う仙台を支えた。
ただ、2019年と20年はケガもあってゴールを守ることはできず、34歳のシーズンで契約満了。2年のブランクがある選手に、再び輝くべき舞台を用意したのがレノファだった。
当時のレノファを指揮した渡邉晋監督は「2年も公式戦に出ていなかったため、ゲーム感覚をフィットさせないといけないという心配があった」と話したが、仙台でも監督をしていた渡邉氏は関を信じて21年の開幕戦に先発起用。試合を無失点で終え、指揮官を「開幕戦でこれだけのパフォーマンスを出せれば、本人も自信を持って落ち着いて行動できる。あれくらいの実力がある選手だ」とうならせた。
「サポーターの皆さんが声を出せない中でも、手拍子で最高の雰囲気にしてくれた。スタメンを勝ち取ることができたが、今出ていない選手も負けないぞというスタンスでやらないといけないと思う。自分も負けないように切磋琢磨してやっていきたい。まだまだ成長できると思うので、頑張っていきたい」
厳戒のコロナ禍での開幕戦のあと、関はそう振り返った。そこからの“成長”と活躍ぶりはレノファサポーターが知る通りで、4年間でリーグ戦129試合に出場してゴールを守り続けた。移籍当初こそ「1年、2年で辞めるという感覚で来た」と考えていたと言うが、ベテランを後押しするサポーターの熱が山口での4年間の生活につながった。
「スタンドから僕のユニフォームを着て応援してくれているのはやはり嬉しい。チームが必要としてくれて、みなさんが後押ししてくれて、4年間やることができた」
一般的に長身選手ほど有利とされるゴールキーパーの世界で、関は異色の178cmでトップレベルを維持した。練習前からの入念な準備でコンディションを整え、若手選手からも学ぼうとする姿勢で道を究めた。高さを補うための周りとのコミュニケーションや果敢なチャレンジはウィークを補うばかりか、関だからこそのストロングとなってチームの勝利に貢献。相手FWとの手に汗を握るような駆け引き、見事なまでの敵陣へのボール供給にも関らしさが宿る。
「一人では守れないので、クロス対応で出て行くかどうかの判断を練習から研ぎ澄ます。自分が出たほうが良いという場面では果敢にチャレンジするべきだ。その決断は試合によって変わるので難しいが、失敗を繰り返して今に至っていると思います」
ケガと隣り合わせのチャレンジを何度も試行し、失敗しながら成功を積み上げてきた。志垣良監督はそんなピッチ内外の振る舞いに目を向け、「誰よりも早く来て準備して、誰よりも勝利に対して貪欲にプレーする。真のプロフェッショナルだった。引退すると聞いて、まだやれるんじゃないかという思いはあったが、それでも選手生命を懸けてきたからこそ、次の人生につながるように有終の美で最後を飾らせたい」と話す。
関のラストマッチがいよいよ始まる。レノファのサポーターが勝利への祈りを届け、横浜FCのサポーターも自動昇格を願って声を送り続けるだろう。勝つか、負けるか。ゴールキーパーの一挙手一投足に懸かっている部分も大きく、今までと同じように手を抜くことのない最高のステージになる。
「若い選手にとっては人生が変わる試合になるかもしれないし、躍動するプレーを見せれば上に行ける世界でもある。横浜FCも昇格が懸かっていて、とても重要な試合。試合を任せていただけるのであれば、僕のためというよりはチームのために責任を持ってやっていきたい」
真のプロフェッショナルの眼差しは未だ変わらない。グローブとスパイクを置くまでは、「一つの試合としていつも通りやるだけだ」。荒波を乗り越えてきた関憲太郎の名を刻む最後の90分間が、いくつものドラマを包んでキックオフの時を迎えようとしている。

(前節の愛媛戦は)チームとしてはアグレッシブにできて、こちらが押し込んでいる時間も多かったですが、守備のところでは集中力も切らさないようにしていました。下堂竜聖選手とは(レノファでは)初めてセンターバックを組んだので、コミュニケーションを大事にやっていました。意図的にオフサイドを取れたシーンもありましたし、完璧にしていかないといけないですが、ある程度はできたと思います。
自分たちも目標としている勝点55と失点45以下を達成したいですし、練習でもみんながモチベーション高くバシバシとやれていたので、横浜FC戦に向けてみんな意識高くやれています。相手も結果が懸かっている試合ですし、自分たちも目標を達成したいです。良い意味で拮抗した試合にしていければと思います。
横浜FCは失点も少なく、守ってからのカウンターとか、前線のパワーを生かすところもあります。セットプレーは良いボールが入ってくるので、セットプレーやカウンターは要注意だと思います。セットプレーをまずは与えないようにしながらも守備はタイトに行かないといけないですし、与えても全員で準備し、ファーストアタックだけではなく、セカンドへの反応も準備していければ失点は防げると思います。
クロスに対して逆サイドが入りきることは共通認識としてあり、トレーニングの成果も自分の中で生きてきていると思います。(前節の末永透瑛選手のゴール場面では)タカくん(前貴之選手)がインターセプトしたあと、吉岡雅和選手、若月大和選手、末永選手が全員でスプリントして、すごい勢いでゴール前に入れていました。ボックス内に4人、5人と入るとエラーも起こせるし、得点にもつながってくるというのは改めて思いました。
今シーズンはプレーオフ争いを戦えたことはサッカー選手としての喜びを感じましたが、プレーオフには行けずに「貴重な経験」で終わってしまうことになったので、選手としては絶対に次につなげていきたいと思います。悔しいゲームが続いて今の立ち位置にいるので、最後は本当に前向きな試合をしたいです。最終戦も絶対に勝たないと今シーズンの目標には到達できないし、この試合が来年やこれからのサッカー人生に期待を持たせるためのゲームになると思うので、本当に気持ちを引き締めて頑張りたいと思います。
横浜FCの中村拓海選手とピッチで会えるのは楽しみです。(東福岡高校で)ずっと仲間としてやっていて今までマッチアップしたことはなかったので、相手として対戦するときにどういうプレーをしてくるのかは楽しみです。ただ、走れるし、質も本当に高いので、警戒しないといけないです。
前節フォーメーション
前節ハイライト
前回対戦ハイライト
スタッツ
横浜FC PICK UP PLAYER
山根永遠選手(背番号8)
推進力のあるウイングバック
新保とのマッチアップにも注目
3-4-2-1のフォーメーションを組む横浜FCで右ウイングバックを担うのが山根永遠だ。今シーズンは34試合に先発出場し、豊富な運動量を生かして攻守に関わる。2節前のファジアーノ岡山戦では、自陣右サイドで相手ボールを奪ってカウンター攻撃に転じ、山根はカプリーニにボールを預けたあともトップスピードで右サイドを突破。再び回収したボールをゴールに流し込んで今季3点目を決めた。
縦への推進力はレノファが守備をする上では最も警戒したいポイントだ。山根は中央に寄るユーリ ララやカプリーニなどを生かした連係から背後へと飛び出していくこともあるが、最初から相手ディフェンスラインと同じ高さを取り、駆け引きを経て一気に突破していくこともある。
ポジショニングを含めて動きは読みづらいものの、レノファは相手陣地に押し込んで攻撃を進めることで、ウイングバックが仕事をする時間を削りたい。特に対面する16.吉岡雅和、48.新保海鈴の動きは重要になる。レノファが前掛かりに人数を割ければ、横浜FCのストロングの一つを抑えることはできそうだ。
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