

季節が少しずつ移ろい、いよいよ9月の戦いへと入っていく。我らがレノファ山口FCは前節こそ敗れたものの、J1昇格プレーオフ圏内での戦いを続けている。ここからさらに上昇するために、ホームでは今季ラストとなるナイトゲームも勝利を追いかけ、総力結集で一丸となって戦っていこう。
今節の対戦相手は徳島ヴォルティス。一時は残留争いの渦中にあったが、4月後半からは成績を持ち直し、何度かの連勝もあって順位のジャンプアップを果たした。台風の影響で1試合未消化ながら勝点36まで伸長。順位としては14位だが9位モンテディオ山形までの勝点差は3ポイントしかなく、上位進出の可能性を十分に残している。
さらに今夏は横浜F・マリノスからFW村上悠緋(背番号81)、名古屋グランパスからMFターレス(同77)などを補強。徳島で頭角を表して渡欧していた渡井理己(同88)、同じく徳島でのプレー経験があるベテランの岩尾憲(同19)なども再び迎え入れた。
徳島のフォーメーションはレノファが前節対戦したファジアーノ岡山と同じ3-4-2-1で、自陣からの安定したボールポゼッションと前線の連係でゴールに迫っている。ボランチから前線へは縦パスが良く入るほか、右サイドはスピードとフィジカルに特徴を持った選手を使い、決定機を作り出す。このサイドの攻防はポイントの一つ。決してレノファも徳島もフィジカル勝負が第一にあるわけではないが、個々の局面では徳島の選手と18.相田勇樹、48.新保海鈴などとが激しく競り合う場面がありそうだ。
局面の攻防を除くと、試合のカギを握るのはチームの総力と戦い方の共有という2点になるだろう。レノファは3.ヘナンと8.佐藤謙介が出場停止。コンディション面で常にベストな状態を保つのが難しい酷暑が続いたこともあり、チームで補い合って戦う必要がある。もっともトレーニングでは細かい部分の連係を含めて、多くのメニューを高いモチベーションで実践してきた。良い競争の中で誰がメンバー入りを掴み取るのか、志垣良監督のセレクトにも注目だ。
暑さがまだ残る中で、試合の進展に合わせた戦い方も重要になる。レノファがボールを持てる時間帯では、中途半端なプレーでのボールロストは御法度。15.前貴之は「ボールを持てないと暑い時期はきつくなる。攻撃をうまくいかせることが大事」と話し、ボールを保持して相手を揺さぶっていくしたたかさを周りにも求める。
敵陣に入れれば、攻撃をシュートで完結させたい。相手3バックの背後やウイングバックの背後は前節同様に狙うべきエリアになる。前線で効果的な動きを見せている9.若月大和、推進力があり背後への仕掛けもできる30.奥山洋平、前回対戦でゴール前に入ってヘディングシュートをしずめている68.野寄和哉などはシュートで終わる攻撃の要だ。
一方で相手がボールを持つ時間も出てくるが、振り回されていると消耗する。相手に決定的な仕事をさせなければよいので、守備時はコンパクトさを保ち、「ボールを持たせている」という感覚で難しい時間をしのぎたい。今が何をする時間帯なのかをピッチ内で共有するとともに、スタジアムの応援さえもいっそう共鳴すれば、レノファイレブンはどこよりも強い力で90分を戦い抜けるだろう。
「スタジアムにバスで入るときに、サポーターの皆さんが楽しそうな雰囲気で集ってくれている高揚感は一番好きな風景。勝った試合での皆さんの姿を想像して帰るというのも至福の時です。元気の活力になっていると思うと嬉しい。パワーをもらっているからこそ、還元していきたいです」
レノファを率いる志垣監督はそう熱を込める。リーグ戦は残り9試合。
ホームでのナイトゲームも今節が今季最後で、維新みらいふスタジアムでの試合もしばらく間が開く。
いつだって簡単な試合はないが、努力の先で白星は必ず輝いている。今こそみらスタにエネルギーを結集し、最高の瞬間を作り出そう!
夏の中断明け以降はリーグ戦5試合すべてに出場し、天皇杯のサガン鳥栖では途中からピッチに立ってクリーンシートに貢献。30.奥山洋平の一番の持ち味はスピードだが、まずは守備でのハードワークで頼れる存在となっている。
岡山市出身で高校までは地元でプレーしたのち、阪南大を経て2022年にいわてグルージャ盛岡に加入した。岩手では13試合の先発を含む32試合に出場して2ゴールを挙げ、1年でFC町田ゼルビアに移籍。ケガによる出遅れもあり町田でのリーグ戦出場はなかったが、高強度なサッカーでJ2、J1を席巻するチームで大きな学びを得た。
その町田からの期限付き移籍でレノファに加入。ここまで天皇杯とリーグ戦の双方に絡み、「守備のベースとして強度高く行かないといけないので、(町田での経験が)生きるところは確かにあると思います」と前線からの厳しいチェックとチェイスで相手の攻撃を鈍らせる。奥山は「もっと攻撃に出たい気持ちもありますが」とも語るが、こう前を向く。
「引き分けの状況や勝っているタイミングで試合に入ることがあるので、まずは失点しないこと。チームとして勝つことが一番です。自分の役割を整理し、守備への切り替えだったり、前線からのプレスだったり、相手がその時間でされていやなことを考えてプレーして、失点をしないようにすることを心がけています」
まだ出場時間は短いが、武器のスピードは生きる。レノファで初出場となった天皇杯3回戦のJAPANサッカーカレッジ戦やリーグ戦の大分トリニータ戦では後半30分前後から出場し、縦への鋭いスプリントで右サイドを突破。相手に後ろ向きの守備をさせることで相手の攻撃機会を減らした。志垣良監督は「疲れている時間帯にあれだけスピードを出したのは、チームとしても助かった」と讃える。
次にやるべきは、得点につながる攻撃をスピードを使って作り出すこと。22年の岩手で多くの試合に出場した一方、町田ではほとんど試合に出ていなかっただけに、長いブランクを取り戻すのは容易ではないが、試合勘は戻ってきている。
「試合に出ていない期間が長かったので、もっと自分の中で上げていきたいところはあります。でも自分の特徴は変わらずに持てていると思うので、それを出すタイミングだったり、その後の精度はもっと上げていきたいです。役割を理解した中で、自分でも違いを出していければと思います」
得点やアシストはまだ付いていないものの、4-3での勝利となった栃木SC戦の3点目では、奥山のランニングが間接的に得点をサポートした。
この場面では左サイドで縦パスがリズムよくつながると、19.山本駿亮が猛然と駆けてクロスボールを差し込み、それがオウンゴールを誘った。その瞬間に逆サイドからペナルティーエリアに入っていたのが奥山だった。レノファは左サイドで瞬く間に相手を崩していたが、奥山はそれを上回るスピードで駆け上がり、相手守備陣は対応すべき選手を絞り込めなかった。
「逆サイドからクロスが上がる時は、なるべく自分も入れるように意識しています。あのクロスも逆サイドまで流れてきたら自分も流し込めたと思うので、そういうボールを自分が狙えるようにスプリントは掛けていきたいと思います」
今節の相手は、ボールをつないでくる時間がある徳島だ。奥山は「良い守備から良い攻撃」を念頭に置きつつ、ボールを持つ相手に対しては「つないでくるボールを取った時の推進力が大事になる」と力を込める。まさにスピードが活かせる試合で、カウンターでの攻略やポゼッションのテンポアップに期待が懸かる。右サイドを縦横無尽にアップダウンし、守備でも攻撃でも光るものを見せ続ける30番に要注目だ。

徳島も上手い選手が多いですし、経験値の高い選手が特に中盤にいるので、そういう選手に仕事をさせると難しい試合になってしまうと思います。最終ラインからラインを上げてコンパクトにして、レノファの中盤の選手からもアタックできるような状況を作り出したいです。ラインコントロールの話はミーティングでも出ていますし、声を掛けるところではしんどい時に声を出せることは大事。チーム全体でも、自分としても、しんどい時にパワーを出せるようにしていきたいです。
ボールを持てる時間を作ることに関しても自分の特徴の一つだと思います。うまくいっていない時間帯もありますが、暑い中では特にそこは大事なので、特徴は出したいと思います。そのためにも近くの選手からFWの選手までを含めて、こう動いてほしい、ここに顔を出してほしいというコミュニケーションをもっととっていければ、自分たちの時間を作ることはできると思います。
(マイボールにした時は)まずは相手が嫌がるところは狙いたいです。相手が嫌なのは背後のところだと思うので、近くだけではなくて、遠くを見るということも忘れずに頭の中に入れておきたいです。ただ、まずは失点0で抑えることが大事です。失点しなければ負けることはないので、そういうことを目標にチームでやっていきたいと思います。
岡山戦は得点にはつながっていないですが、ただ少しは起点になれたのかなと思います。相手が疲れていた状況で試合に出たので、背後を狙うということが多かったですが、蹴るタイミングで相手も引いていたので、もう少し空いたスペースに入れるようなことがあれば得点を返せたのかなと思います。
ポジションによって自分のやるべきことを自分の中で整理して、攻撃であれば守備ばかりに力を使いすぎないように考えています。相手に見られないポジションからスペースをうまく使うということも考えながらやっていきたいです。この間(岡山戦)のような形であれば、どうやって相手の嫌なところに入っていけるかとか、どう点を取れるかというのを考えてプレーしないといけない。スタートから出るか、途中から入るかではゲーム内容も変わっているので、ベンチでも色々見ながら考えています。
徳島戦は相手もボールを持ちたいと思います。相手のリズムになって押し込まれた時に、どうやって守るかということと、奪ったあとにすぐに取られないとか、クリアをやり切るということが大事です。攻撃のところでは自分たちの時間を作りたい。まだ暑いので、特に一人一人の持つ時間とか、ボールを運ぶ位置で、もっと相手を走らせるイメージを持ってやっていきたいと思います。
前節フォーメーション
前節ハイライト
前回対戦ハイライト
スタッツ
徳島ヴォルティス PICK UP PLAYER
ブラウン ノア 賢信 選手(背番号9)
長身とスピードを活かす攻撃の要
レノファの守備組織との攻防に注目
レノファとの前回対戦では途中出場だったが、シーズン中盤戦以降はスタメンに定着し、8戦連続で先発出場している。カナダ出身で、日本育ち。横浜F・マリノスのアカデミーからトップチームに昇格し、2020年以降はJ3やJ2で経験を積んで、成長を確かなものにしている。189cmの恵まれた体格とモビリティーは大きな武器だ。
主にシャドーのポジションに出場し、背後に抜けたり、起点となったり、絶妙なラストパスを通したりして得点に絡む。今季はここまでPKを含む3得点。7月6日のヴァンフォーレ甲府戦では移籍前の橋本健人(現在は新潟)のグラウンダーのクロスに反応し、数的不利な状況をものともせず、しっかりとゴールに流し込んだ。
向かい合うレノファ守備陣からは「足の速さがあり、一人で崩せる選手だ」と警戒したい選手の一人として名前が挙がる。フリーにさせたくない選手ではあるが、マークについていても仕事ができるだけに、レノファとしては守備陣形を整えて、ブラウン ノア 賢信にボールが入らない状況を作っていきたい。個と個のバトルというよりも、組織でどう守るかが大事になりそうだ。
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