

4試合連続無失点で試合を進めているレノファ山口FC。
前節のモンテディオ山形戦では、相手の立ち位置が想定とは異なる部分もあったが、10分過ぎまでに誰が誰にプレスに行くかという基本を整理し、確実に守備がはまるようになった。

試合によって思ったよりも相手で出てこなかったり、逆に高さや幅を取ってきたりすることもあるが、ピッチ内での活発なコミュニケーションで早い段階で対応できるようになってきている。その経験は今節の90分間にも生きる。
今節の対戦相手、V・ファーレン長崎は前節の試合を受けて2名が出場停止。
カイオ・セザール(背番号10)が2枚のイエローカードを受けて退場となり、さらにフアンマ・デルガド(背番号9)には累積8枚目となるイエローカードが出された。フアンマは前節も1得点1アシストで全得点に絡んでいただけに、長崎にとってのダメージは大きそうだ。
最も主力2選手が不在はレノファにとってはチャンスのように見えるが、逆に難しい試合になるかもしれない。
長崎の前線に着目すると、高い打点で空中戦を制する都倉賢(背番号27)、一人で局面を打開するパワーがあるエジガル・ジュニオ(背番号11)、パスからドリブルまで万能にこなすクリスティアーノ(背番号7)などタレント豊富。予想図は都倉の1トップとしているが、ジュニオを起用した2トップとする可能性も考えられる。ただ相手のフォーメーションよりも気をつけたいのは次の2点だ。
一つは相手FW陣が攻め残るかどうか。すなわち長崎が攻撃から守備に切り替わった際に、都倉やジュニオなどが前方に残ったままになるか、すぐにプレスバックして自陣での守備に参加するか。
攻め残った状態であれば中盤はオープンになりやすく、レノファは4.神垣陸がボールに関わる時間は増えそうだ。しかし、運んだボールを簡単に失ってしまうと、攻め残ったFWに預けられて一気にピンチとなってしまう。中盤でパスを出す神垣や15.前貴之には背中を感じながらボールを送るという慎重さも同時に必要になる。

もう一つのカギは相手のチャンスメーカーへの規制だ。特に右サイドの増山朝陽(背番号8)はボールの持ち運びにも長けたオールラウンダー。クリスティアーノが出る可能性もあるが、誰が出ようともこのサイドでマッチアップする11.田中稔也と14.沼田圭悟は彼らの動きを連動してしっかりと制限したい。
また中央の加藤大(背番号13)も自由に持たせれば精度の高いパスで決定機を創出する。レノファは前節の試合中、山形の田中渉に前を向かせてしまう場面が数度あり、決定的な場面を作られている。どれだけFW陣やサイドアタッカーをマークできていたとしても、集中を欠いてしまえば、2列目からやられてしまうかもしれない。その点では全体を見渡せる場所にいる31.寺門陸の声掛けも一層重要になりそうだ。

しかし、レノファが必要以上に相手の顔ぶれを恐れる必要もない。
長崎は強度の高いプレッシングと4-4-2の堅牢なブロックを使い分けて守備をしているが、相手の守りに迎合することなく、スペースを見つけて攻め込めれば、チャンスは確実に増やせる。
前節の山形戦と同様、ロングスプリントで4バックの脇を突く2.高橋秀典、古巣対戦となる16.吉岡雅和などサイドアタックは今節も大きな武器。
さらに神垣がボールを持てるならば、それだけ縦パスを通せる余裕も生まれるはずだ。受け手となる6.矢島慎也、11.田中稔也、13.大槻周平などとの呼吸も合ってきており、中央だけで崩しきるシーンも出てくるだろう。鮮やかな攻撃に今節も期待したい。

相手の出方に対する冷静な判断と、相手に振り回されない分厚い攻撃ができれば勝利は近い。通算の対戦成績こそ分が悪いが、前回対戦もレノファは中山元気コーチの指揮のもと、強度高く戦って勝点1を掴んだ。今節はそれを勝点3へ。ピッチ内外の熱い闘いで2連勝を手にしよう!
水曜日にレノファは山形に1-0で勝利した。この第24節はJ2リーグ全11試合がほぼ同時に行われ、ザスパクサツ群馬とロアッソ熊本の1試合を除く10試合で、白黒がはっきりと付いた。5チームが3得点以上を決め、特にヴァンフォーレ甲府はブラウブリッツ秋田に5-1で勝利している。
前節の各試合の結果は次の通り。
山口 1-0 山形
磐田 2-1 金沢
大宮 2-1 千葉
東京V 1-2 長崎
群馬 1-1 熊本
大分 0-3 町田
仙台 0-3 清水
岡山 2-3 藤枝
甲府 5-1 秋田
いわき 1-0 栃木
水戸 3-1 徳島
レノファはなかなか複数得点を挙げる試合は作れていないが、前節が象徴するように今年のリーグ全体ではスコアが大きく動く試合が多いように感じる。この感覚が正しいかどうかを見極めるべく、今回もJリーグデータサイトを調べてみると、興味深い数字が出てきた。
前節までのJ2リーグの合計得点は656点。1試合平均に直すと2.48得点となる。毎試合約2.5点が入っているという計算だ。1年前の2022年は第24節時点で総得点637点、試合平均2.42点だったので、確かにちょっと増えている。
ただ誤差の範囲とも言えるので、検索する範囲を広げて10年前からのスコアを表にしてみた。
J2第24節時点の合計得点と平均点
2013年 計645点(平均2.44点)
2014年 計626点(平均2.37点)※J3創設
2015年 計589点(平均2.23点)◇近年最少
2016年 計614点(平均2.36点)
2017年 計667点(平均2.53点)
2018年 計669点(平均2.54点)◆近年最多
2019年 計638点(平均2.43点)
2020年 計633点(平均2.40点)※降格なし
2021年 計613点(平均2.33点)
2022年 計637点(平均2.42点)
2023年 計656点(平均2.48点)
目がチカチカしそうで申し訳ないが、今年の1試合平均2.48点は2018年に次いで高い数字となった。また、2014年から2016年にかけては明らかに得点が少なく、J2リーグの手堅さも分かる。得点の傾向にも変化があり、年度によってセットプレーの割合が高かったり、ショートパスやこぼれ球のような得点が多かったりする。
J-STATSの集計によれば、今年はリーグ全体ではクロスからの得点が比較的多く、レノファに限ればセットプレーからの得点が突出している。ちなみに2018年のレノファはクロスからの得点が多かった。今年もクロス自体は多くあるが、セットプレーのほうが目立つのは、裏を返せばクロスの質や決定力に課題があるということかもしれない。
ところで、今年はJリーグ30周年。Jリーグの幕開けとなった1993年のデータを見てみると、同年の前半戦(Jリーグサントリーシリーズ)は総得点259点、試合平均2.88点。後半戦のNICOSシリーズは総得点273点、試合平均3.03点。両シリーズとも延長Vゴール方式で競われた。
ディアス(横浜マリノス=当時)が32試合28得点で得点王に輝き、アルシンド(鹿島アントラーズ)が28試合22得点、三浦知良(ヴェルディ川崎=当時)が36試合20得点を決めている。今年のJリーグも一人のエースストライカーが得点を量産していくのか、チーム全体で得点を取っていくのか、チームスタイルと併せて見ていくと面白そうだ。
ともあれ、今年のJ2リーグは得点が動きやすいのは間違いがなさそう。サッカーの魅力はいたるところにあるが、やはり一番は得点を決めて勝つこと。ホームゲームや近場のアウェイゲーム、パブリックビューイングに友達を誘う際には、「得点が動きやすい」ということを伝えてみても良さそうだ。



2023年7月7日現在
