

前節までの3連戦は0勝1分2敗と苦戦し、大分トリニータには1-3、清水エスパルスには荒れた天候の中で0-6で敗れた。2度目の中断以降はピッチ状態が変化し、相手の個の力が際立ったが、その時間帯がなかったとしても0-3の大敗。相手がタレント豊富で力の差があったのは考慮すべきところではあるが、それでもレノファが攻撃で良い形を出せなかったのは大いなる反省点だ――。

MDPの本文としてはネガティブな書き出しをしてしまったが、今週のチームは勝点1を得るだけだった3連戦を踏み台に、もう一度レノファらしく戦おうと誓い合った。名塚善寛監督は練習後、報道への取材対応に次のように語った。
「どんな相手でも自分たちのサッカーをやるということができなかった。選手は本当に一生懸命やってくれた。もっと言えばサポーターは本当に最後まで後押ししてくれた。それにも関わらず後ろ向きな試合をしてしまった。選手にチャレンジさせられなかったというところが本当に申し訳なかった」
その上で、最近の戦い方を振り返って「やろうとしているサッカーはあれではない。中途半端になってしまった」と述べ、「自分たちのサッカーをもう一回取り返す」と熱を込めた。

4月1日のブラウブリッツ秋田戦以降、攻撃でロングボールが増えたのは多くの人がうなずくところだろう。そしてロングボールでリスクを回避したにも関わらず、距離感が悪いためにイージーミスが頻発して失点が重なった。端的にレノファらしさに欠ける試合が続いた。レノファは足元の技術が高い選手が多いチームであり、やはり、「レノファらしさ」を取り戻して戦わなければならない。
したがって、今節の最大のポイントは、レノファが原点回帰できたかに尽きる。今節の相手も個の力があるチームだが、レノファが原点のスタイルをやり遂げるなら、今節はレノファがボールを持つ時間が長くなるはずだ。
「レノファがボールを持てる試合」という表現は昨年までのプレビューコンテンツでも繰り返し使ってきた言葉だ。耳にタコを作ってしまうのは申し訳ないが、ボールを持って主導権を握るのがレノファのスタイル。好成績だった2016年や18年はボールを保持して相手陣で数的優位な状況を作り、最初で仕留められなくとも、二次攻撃、三次攻撃で翻弄。勝ちきれない時でさえ課題は「両ゴール前のクオリティー」に集約され、ボールを持つという根本が揺らぐことはなかった。
中5日の準備期間で名塚監督がレノファの哲学をもう一度選手たちに吹き込めたなら、4-4-2のブロックを作る相手に対して、レノファはかなり押し込んで試合を進められるはずだ。
4.神垣陸、6.矢島慎也、10.池上丈二と予想した中央の三角形がポゼッションの中心となり、サイドを駆け上がる2.高橋秀典、14.沼田圭悟などを活かしてチャンスを広げていけるだろう。

とりわけ守備側にとって嫌なエリアとされる「バイタルエリア」やポケットと呼ばれる背後のスペースへの出し入れはカギを握り、ここで受けるのと厭わない10.池上丈二や16.吉岡雅和、20.河野孝汰の動きは、フィジカルの強い岡山守備陣を出し抜くにも重要になる。
相手のファジアーノ岡山は目下5戦連続で引き分けている。フォーメーションは4-4-2で、中盤は二つのパターンがある。輪笠祐士(背番号6)をアンカー、若手の田部井涼(背番号41)を1列前に置く「ダイヤモンド型」と、輪笠と田部井を横並びとするフラットないしはボックス型だ。
いずれにせよレノファは彼らへのプレッシングをきちんと効かせなければならない。中盤にプレスを掛けることで、岡山の最大のストロングと言える前線への供給を減らせるからだ。
岡山の前線は長身の櫻川ソロモン(背番号18)、ブラジル人ストライカーのチアゴ・アウベス(背番号7)、連動した動きに長けたステファン・ムーク(背番号8)などで、実績は十分。セットプレーのバリエーションも豊富で、前線の選手たちがゴールを狙うメインターゲットになっている。
1週間前の試合で岡山と対戦したのはベガルタ仙台だったが、仙台でさえ彼らには苦戦。
櫻川などへのマークははっきりしていたものの、木村太哉(背番号19)にフリーでクロスを上げさせたり、逆サイドの佐野航大(背番号22)にシュートを決められたりしている。
強力なFW陣へのマークを厳しくすれば、逆にサイドアタッカーがフリーになるジレンマがある。したがって、レノファとしては、まずは自分たちがボールを保持して相手の攻撃回数を減らし、相手にボールが渡ってしまえば素早く切り替えて相手の攻撃を「芽」の段階から削いでいきたい。やはりレノファらしい攻撃、レノファらしい前向きな守備の遂行こそが勝機を引き寄せることになる!
今節は「プライド・オブ・中四国」の一戦だ。先週までのネガティブな試合からポジティブさに満ちた試合へ。レノファの熱いサッカーでプライドを懸けて戦い抜き、岡山の地で勝点3を手にしよう!(文:上田真之介)

前節の清水エスパルス戦は2度の中断がある試合となった。中断そのものも珍しいが、試合後の清水・秋葉忠宏監督が「2度の中断は初めてだった」と話すなど2度のサスペンドはレアケース。特にピッチコンディションの変化には両チームとも苦労した試合となった。

このコーナーでは様々なデータを紹介しているが、今日は中断について見ていきたい。
Jリーグの発表によれば、Jリーグ史で最初の中断は1999年7月3日のJ2リーグ第16節。現・NACK5スタジアム大宮(記録上は埼玉県営大宮公園サッカー場)で行われた大宮アルディージャvs.モンテディオ山形戦で、停電のために後半8分から17分間にわたって中断した。
J2リーグ元年の同年は今とはレギュレーションが異なり、90分を終えて同点の場合はVゴール方式の延長戦が行われていた。雨中の試合は中断を経ても0-0のまま決着が付かず、延長後半になって磯山和司氏がヘディングシュートをしずめて、大宮が勝利している。
雷が直接的な要因となった中断試合は、同年8月29日のJ2リーグ第23節が最初。やはり大宮のホームゲームで、大宮vs.アルビレックス新潟戦だった。試合は前半44分から雷雨のために9分間の中断。公式記録に載っている天気は「晴のち雷雨のち曇」で、変わりやすい天候だったことが分かる。
新潟が鈴木慎吾氏のゴールで先制し、0-1の状態で中断。その後のハーフタイムを経て後半が始まると、やはり磯山氏のヘディングが決まって大宮が追いつくことに成功。なおも大宮がゴールを挙げ、3-1で逆転勝ちした。ちなみにこの試合で新潟の中盤を担っていたのが秋葉忠宏“選手”。清水を率いる秋葉監督が初めて経験した中断試合が、くしくもJリーグ史に残る「初の雷雨による中断試合」だった。
2度の中断があった試合は過去に2度あり、1度目は2014年4月6日のJ3リーグ第5節、Y.S.C.C.横浜vs.JリーグU-22選抜戦(ニッパツ三ツ沢球技場)、2度目は2021年5月15日のJ3リーグ第8節、鹿児島ユナイテッドFCvs.藤枝MYFC戦(白波スタジアム)で、今回が3回目となった。
これら3試合ともにアウェイ側のチームが勝利している。スコアは、YS横浜0-2リーグ選抜、鹿児島0-3藤枝、山口0-6清水――。ホームチームは得点ができず、さらにJリーグU-22選抜の2点目、藤枝の全得点(そのうち2得点は大石治寿選手)、清水の3得点は2度目の中断以降にマークされている。偶然なのか、共通する要因があるのかは分からないが、興味深いデータだ。
中断に強いチーム、中断で崩れるチームという傾向がもしかしたらあるのかもしれない。数分間の中断も含めれば、年間に10試合程度はゲームが一時的にストップしており、いわゆる温暖化の影響もあって、雷雨や大雨のために中断したり、延期になる試合はこれからも増える可能性はある。中断の時間をどのように過ごして、その後の時間帯につなげるべきか。さきの清水戦はレノファにとって大きな教訓を得た試合となった。



2023年4月18日現在
