

7月は3連戦でスタートする。
7月1日はアウェイ戦で藤枝MYFCと対戦し、ミッドウィークにモンテディオ山形、次週日曜日にV・ファーレン長崎と対戦する。ホーム戦は山形戦のみで、今回も移動に負担が掛かる3連戦となりそう。その分、最初の藤枝戦に勝利してポジティブなメンタルで夏の連戦を乗り越えたい。

藤枝との前回対戦は0-3の苦杯。
リーグ得点ランキング1位タイの渡邉りょう(背番号9)に早い時間帯でゴールを許し、レノファが自ら難しい試合展開としてしまった。それから3カ月あまり。藤枝は大きくスコアが動く試合を続けながら10位と健闘し、レノファも新監督の就任で流れを引き寄せてきている。
前回対戦をピッチ外から見つめた4.神垣陸は「前回は負けている。しっかり借りを返したい」と意気込みを語っており、前回よりも迫力のあるゲームになっていきそうだ。

予想フォーメーションは図の通りで、藤枝は顔ぶれの多少の入れ替わりはあるが、3-4-2-1の形は変わっていない。前線は渡邉のほか、レノファでのプレー経験がある岩渕良太(背番号8)、昨年はJ3リーグのベストイレブンに選ばれている横山暁之(背番号10)の組み合わせが基本となっている。
現在はレノファの育成組織の一つとなっているレオーネ山口U-15でプレーしていた小笠原佳祐(背番号5)は、出場すればセンターバック3枚の右側が有力。U-12チームでもプレーした河上将平(背番号33)は6月に2試合に途中出場しており、どちらもピッチに立つ可能性がある。
その藤枝の特徴と言えるのが攻撃の厚み。渡邉の得点が突出しているが決して大味なサッカーをしているわけではなく、むしろ敵陣でこそ繊細なパスワークを見せてチャンスを広げている。敵陣中央で巧みにボールを動かせており、中央をするすると抜けていく水野泰輔(背番号7)、パス供給に長けた横山はレノファとしては前を向かせたくない選手たちだ。
彼らに加え両ウイングバックの久保藤次郎(背番号24)と榎本啓吾(背番号27)は背後にも、中央にも顔を出せている。いわゆるポケット(ペナルティーエリアの両隅)へのランニングは得点直結のもので、彼らには特に厳しくマークする必要がある。ただ藤枝がレノファのハイプレスを嫌えば、長いボールを使う戦法に変化する可能性もあり、相手の出方にも注意したい。
レノファにもチャンスが多く巡ってくる試合になるだろう。相手ウイングバックの背後を突いたり、相手のパスワークをハイプレスで遮断したりして守から攻に転じ、コレクティブ(集団的)なカウンター攻撃ができれば、決定機を引き寄せられる。
前節の栃木戦では相手のマンツーマン気味の守備に苦しみ、特に後半はロングカウンターしか手段を持てないほど押し込まれてしまった。「どうやって打開するかは中で話していたが、うまく改善できなかった」と話すのは4.神垣陸。少人数でのロングカウンターはレノファが得意とする形とは言い難く、そういう状況だけは避けたい。カウンターに出るならば短くて(ショート)、集団的(コレクティブ)というのが一番だ。
11.田中稔也、16.吉岡雅和のハードワークと前方へのランニングも楽しみだ。対面する相手を制することができればスピード感を持って前進でき、遅攻になっても前節よりはサイドバックとの連係を発揮できそう。田中は14.沼田圭悟、吉岡は15.前貴之と絡んだビルドアップで相手を後手に回し、13.大槻周平や20.河野孝汰の動き出しをクロスやスルーパスで生かしたい。

右ウイングでの途中出場というサプライズがあった2.高橋秀典もキーマンになり得る。強度の高さはサイドの攻防には不可欠だからだ。その高橋は次のように今節を展望する。
「相手のウイングバックは上下動もしてくるし、攻撃の時はドリブルでも状況を打開してくる。そこに負けないことが大事で、受けてしまうと前回と同じようになる。どうやって相手に対して有利な状況を作り出して得点に絡むか。全員で共通意識を持って崩し方を考えていく必要がある」

高橋の言葉が示すように、今のレノファが見せるべきは前向きなプレスと、1トップ頼みにならない分厚い攻撃だ。やるべきサッカーを表現できれば勝点3に近づくに違いない。
それに、前掛かりにボールを動かそうとするチーム同士が対戦すると、内容の濃いワクワクするゲームになる。ピッチ内で選手同士が熱い攻防を繰り広げる中、ベンチでは両指揮官がどのように戦術に変化を加え、進撃するスペースを見つけ出すのか。フアン・エスナイデル監督と藤枝を率いる須藤大輔監督のアイデア勝負も見どころの一つだ。

レノファの後半戦は始まったばかり。タフだが気概に満ちた熱い試合を制し、3連戦を3連勝へ! 巻き返しの夏を確かなものにするべく、現地とDAZNから精一杯の声援を届けていこう!
アウェイ戦前のプレビューでは、おうちやパブリックビューイングでDAZN観戦する際に役立つデータを紹介してきた。今日は第5節金沢戦のプレビューでも紹介した「ボール奪取位置」について再び述べてみたい。
ボール奪取位置はハーフタイムと試合終了後に画面に表示されるデータ群の一つ。その名の通りボールを奪った位置がマッピングされ、ピッチを3分割して「アタッキングサード」(AT)、「ミドルサード」(MT)、「ディフェンシブサード」(DT)のどこが多いかも比較できる。
フアン・エスナイデル監督の就任直後に行われたヴァンフォーレ甲府戦の前半は、次のような数値になった。(データの出典はいずれもJ STATS)
甲府戦 <前半>
AT 7%
MT 31%
DT 62%
平均位置 33.1m
ボール奪取回数 29
ハイプレスが効いていたのは間違いないが、実は6割強はディフェンシブサード(DT)で奪い返していた。数字は『ボール奪取位置は意外と低い』ということを物語っている。ただ、ボール奪取回数は29回に上り、相手にシュートまで行かれる前に確実に奪い返せていた。
最前線でプレーする9.皆川佑介は「簡単にはがされないことと、奪うためのコースを限定してほしいと言われている」と話す。アタッキングサード(AT)で奪い返せるのがベストだが、FW陣の巧みなプレッシングで相手のコースを限定し、その後ろで着実に奪うということが初戦から徹底できたというわけだ。
レノファが2-0で勝利した仙台戦の前半も、次のような数値になった。
仙台戦 <前半>
AT 7%
MT 37%
DT 56%
平均位置 35.1m
ボール奪取回数 30
数字はかなり似たようなものとなっているが、よりミドルサード(MT)で奪う回数が増え、甲府戦よりも平均して2メートル高い位置で攻撃に転じている。相手が異なるというのはあるが、プレスがいっそう整理された結果とも言えよう。
しかし、レノファが苦戦を強いられた前節の栃木戦は数字が変化する。
栃木戦 <前半>
AT 0%
MT 44%
DT 56%
平均位置 32.4m
ボール奪取回数 18
ディフェンシブサードが多いのは変わらないが、ボール奪取回数は18と急減し、平均奪取位置も3メートル低くなった。長いボールを使う相手に対してコースを限定して奪うのは物理的に難しく、どうしても低い位置でロングボールを回収したり、そのセカンドボールを拾ったりすることが中心になってしまった。
このような戦いになった時でも焦れずに戦い続ければ、勝点1ならば引き寄せられるというのは、栃木戦の収穫点。ただ勝点3を得るには、もっとマイボールを大切にして自分たちの時間を作ったり、攻撃で二つ目、三つ目の矢を放つということも必要になる。栃木戦は教訓を得るゲームになったと言えそうだ。
翻って今節はレノファが甲府戦の前半や仙台戦のようなプレスの掛け方ができる可能性は高い。前半を終えた段階で仙台戦に近い数値が出ていればレノファに流れが来ていると断言できる。ハーフタイムで示されるボール奪取位置をバロメーターに、今節はレノファの熱戦を眺めてみよう。



2023年6月29日現在
