

J1昇格プレーオフ圏内の4位に位置するレノファ山口FCは今週末、6位ファジアーノ岡山と対戦する。2024年のJ2は残り10試合。先週に引き続いての上位直接対決は、高みを目指すためには絶対に負けられない一戦だ。
レノファは1週間前のV・ファーレン長崎戦を2-1で逆転勝ちした。51.酒井宣福の移籍後初ゴールとなるヘディングシュートが決まって同点とし、キャプテンの20.河野孝汰が左足からのミドルシュートをしずめて難しい試合をものにした。今節も攻撃と守備を機能させ、たくさんのサポーターの声援を力に変えて、勝利へと突き進んでいこう。
対戦相手の岡山もプレーオフ圏内の6位を戦っている。ただリーグ戦は5試合続けて引き分けに終わっており、足踏み状態にある。それでも失点数が少ないのは大きな特徴。組織的な守備が安定していることに加え、ディフェンスラインの個の能力も高い。
3バックは阿部海大(背番号4)、田上大地(同18)、鈴木喜丈(同43)の先発が予想され、さらにセットプレーでは攻守に目立つ柳育崇(同5)が途中から入って、対人プレーの強度を保つ。またGKスベンド ブローダーセン(同49)はセーブ率でリーグトップクラスにある。
レノファは3月10日の前回対戦でもその堅守を崩せなかった。手を替え品を替え何度も岡山ゴールに迫りはしたが無得点。逆にコーナーキックの流れから一発を浴びて0-1の黒星を喫した。対戦成績で見ても岡山との相性は良くはないが、岡山陣内に深く入るチャレンジはやり続けないといけない。
岡山は厳しく前からプレスを掛けてくると想定されるが、ウイングバックやボランチが勢いよく出てくる分、その背後のスペースはレノファが使えるエリアになる。長崎戦の同点場面ではフォーメーションのギャップを突いて左サイドを崩し、28.小林成豪のクロスから51.酒井宣福が移籍後初ゴールを挙げた。スペースを生かした再現性の高い攻撃の結実は、今節にも必ず生きてくる。
対する岡山の攻撃陣も新戦力が加入した。ガブリエル シャビエルの退団、センターFWのグレイソンの負傷などがあり、新たに京都サンガF.C.から一美和成(背番号22)を補強。一美は4戦連続で先発し、前線で起点を作る動きもしている。ここへの供給の質を落とすためにも、レノファはゲームメークに長けたボランチや最終ラインにしっかりとプレスを効かせたい。
今週は台風10号の接近で練習日程の一部を変更したが、準備自体は整っている。志垣良監督は「予測をしていれば対応はできる。サッカーも一緒でこうやられたら嫌だなというのが分かっていると、対応策はあります。そういう意味でも(天候に対しても)最善の準備をして臨みたい」とした上で、次のように意気込みを語った。
「岡山は守備が堅く、いかに崩すかがポイントになる。相手にはモビリティーのある選手が揃っているので、崩しきれないとカウンターには気をつけないといけない。今節は1万人プロジェクトで、多くのお客さんが集まってくれると思います。その後押しが我々の大きな勇気となっています。スタジアムが一体となって、みんなの力で勝点3が取れるように戦っていきたいです」
3試合限定の「まちじゅうエヴァンゲリオン×レノファ山口FC」コラボユニフォームの着用試合はここまで2戦2勝と絶好調。
逃げちゃダメだ!のスピリットを貫き、時にタイマン上等の勝負を制し、レノファは上位をひた走る。奇跡は起こしてこそ価値があるもの。難敵からも勝利を挙げ、この勢いを本物に!
土曜日の維新みらいふスタジアムで、今夏最高の思い出を作っていこう。
前節のV・ファーレン長崎戦で移籍後の初ゴールを決めた51.酒井宣福。プレーオフ圏内を戦うチームとサポーターの期待を背負い、「目の前のワンプレーに集中し、一つずつ積み上げていきたい」と熱を込める。
酒井は今夏、名古屋グランパスから期限付き移籍で加入した。求められる役割はもちろん前線で起点になることと、経験と持ち前のセンスを研ぎ澄ましてゴールを取ること。それに相手が低い位置からビルドアップを開始した局面では、タフに相手を追って攻撃のテンポを遅らせることも重要なタスクだ。
加入後はなかなかゴールが生まれず、2節前の藤枝戦ではシュートシーンにも絡めなかったが、志垣良監督は先発に選び続けた。「得点という数字は付いてきていなかったが、それ以上の貢献度がある」。指揮官はそう評価し、長崎戦後の記者会見では献身性を讃えて、「チームを思って目に見えない声掛けもやってくれている。一つ得点を取れたことで肩の荷は下りたと思う。本当にここからもっと期待したい」と話した。
戦術を重んじ、味方を陰日向に支える姿勢は確かに中断明け以降の2連勝につながった。しかし、酒井は今、移籍した選手の穴を埋めるのではなく、自分の色を少しずつ表現しようとしている。初得点の場面がまさにそうだ。
「サイドに流れるプレーが多かったが、真ん中で待っていようと思っていたら、(小林)成豪が良いボールを出してくれた。信じて待っていて良かった」
チーム戦術の中で両サイドに開いてボールを受け渡す姿勢も素晴らしいが、ゴールに一番近いところにいるべき選手だという原点を貫き、クロスボールを頭で流し込んだ。
そのヘディングシュートも技術が光る。オフサイドギリギリの駆け引きの中でクロスボールを呼び込むと、後背にいた相手DFに一切の邪魔を許さず、小さく首を振ってゴール右下に送った。クロスに対して真っ正直に叩いてしまうと枠は捉えられなかっただろう。酒井はボールのスピードを殺しすぎず、絶妙な当て方でGKが飛び付けないエリアを狙った。「半分以上は成豪のゴールだ」と言うが、技量の健在ぶりを示すものになった。
「僕自身はケガもあって、このゴールは久々に決めたものだった。自分の中でも嬉しいというか、簡単には言い表せない感情が出てきました。ここからまた次。一つ上のステップに踏み出せたという気持ちも同時にこみ上げてきました」
屈託のない笑みを浮かべる酒井だったが、その瞳と少しの紅潮は「言い表せない感情」を言葉の代わりに物語っていた。2011年に地元のアルビレックス新潟でJリーグデビューし、2年間所属したアビスパ福岡では主力としてゴールを量産。大宮アルディージャやサガン鳥栖でも中心選手となった。しかし、昨シーズンの名古屋グランパスではリーグ戦は無得点に終わり、今季もピッチ上で躍動する姿をほとんど見せられなかった。光を求めたレノファへの移籍は賭けだったかもしれないが、自分のプレーでそれを正解にさせつつある。
今節はファジアーノ岡山と対戦する。酒井は2016年シーズンの後半戦を岡山でプレーし、チームはJ1昇格プレーオフに出場した。レノファをさらなる高みに持っていくには、酒井の経験が再び生きてくる。
「岡山も夏からの加入でしたが、そこまで大きなものを残すことができなかったという自分の中での悔しさもあります。今は悔いのないように一日一日を大事にする。本当にそこが大事になってくと思います。相手がどこであっても日頃から自分たちがやっていることを試合で出せれば、良い結果につながると思います」
酒井のストーリーは続いている。彼自身がJ1の舞台に戻るために、そして酒井を包み込む仲間をまだ見ぬJ1に導くために。「何よりチームが勝つために自分もゴールを決めて、みんなも決めてたくさん点を取り、しっかり守って、攻守両面で良いサッカーを見せていきたい」。
残り10試合に酒井宣福の全てを捧げていく。

長崎戦はまずは失点しないで試合を終わらせることを意識して途中から入りました。前線から相手を追っていくことだったり、相手に綺麗な状態ではボールを入れさせなかったり、プレッシャーを掛けてボールがずれるようにしたりということは意識しながらやっていました。相手の嫌がるプレーができていたら自分の役割の一つは果たせたと思いますが、やはり自分の攻撃の特徴はまだ納得のいく形では出せていないので、どの試合でも自分の役割を果たした上で、攻撃も狙っていきたいです。
ファジアーノ岡山は地元のチームでもあり、勝ちたい試合です。岡山も地元に根付いているチームで、応援の熱気も高まっているのは地元に帰った時にも感じています。やはり負けたくはないです。守備が本当に堅いというのは分かっていますが、そこを打開することができたら状況も変わってくると思います。自分の特徴を出し、自分の前のスペースを生かしたり、ボールを呼び込んで起点を作ったり、得点に絡めるように良い準備をして臨みたいです。
上位との試合で勝つと負けるとでは状況は全然変わってくると思います。上位にいるチームとの試合を一つずつ勝っていくことが、シーズンが終わった時に良い順位で終えるためには大事なことだと思います。上位との試合が続きますが、一試合一試合を大事に戦っていきたいです。
(前節の長崎戦は)相手を抑えることができたシーンもあれば、判断のところでの反省点もいくつかありました。もっと良い準備をしていればもっと良い対応ができたとも考えられるので、そこは日々の中からやっていきたいと思います。良い準備をするという部分を今後の課題としてやっていかないといけないと思います。
鳥栖戦、長崎戦と良い流れで来ているので、何としてでも勝点3を掴んでプレーオフ圏内を維持したいです。岡山との前回対戦ではセットプレーの一発でやられてしまっていますが、セットプレーが強いチームに対しては、まずはセットプレーを与えないことを意識しないといけないですし、セットプレーになってボールを蹴られたあとの、2つ目、3つ目まで頭を止めず、最後にクリアするまで集中しないといけない。集中力もカギになってくると思います。
1万人プロジェクトで多くのサポーターが来てくれると思うので、絶対に勝ちたいです。ヘナン選手が出られないですが、ヘナンがいないから負けているようではダメで、違う選手が出てもしっかり勝てるチームでないとJ1昇格は見えてこないと思います。ただ、誰が出ても戦えるということに対しては誰も心配していないと思いますし、みんなも気合いが入っていると思います。
前節フォーメーション
前節ハイライト
前回対戦ハイライト
スタッツ
ファジアーノ岡山 PICK UP PLAYER
竹内涼(背番号7)選手
経験豊富な攻守のキーマン
多彩な攻撃には要警戒!
浜松市出身で、高卒ルーキーとして2009年に清水エスパルスに加入した。ただ出場機会は少なく、ギラヴァンツ北九州に武者修行に出ると、サイドから仕掛けたり、リズムの良いパス交換からチャンスを作ったりして活躍。1年で清水(当時J1)への復帰を果たし、それ以降は11シーズンにわたって、清水でのプレーを続けた。
2024年はファジアーノ岡山に移籍。清水時代と同様にキャプテンも任され、チームの攻守の要となっている。今のポジションはボランチで、竹内と同じように経験値の高い藤田息吹とコンビを組んでゲームを作る。ただ岡山は勝ちきれない試合が続いており、竹内は前節試合後の公式映像のインタビューで「気持ちだけでは勝てない。何をすべきかをチーム全体で突き詰めてやっていくしかない」と気を吐いた。そのキャプテンシーもチームにとっては頼もしいものだろう。
ボールに多く触れて展開することもできるが、一人でボールを持ち運ぶ能力も持つ。レノファは竹内などにはしっかりとプレスを効かせ、ボールを良い形では持たせないようにしたい。18.相田勇樹、37.田邉光平などとのマッチアップが想定され、中盤では強度の高いバトルが繰り広げられそうだ。
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