

前節は1万人以上が入った維新みらいふスタジアムで大分トリニータに快勝したレノファ山口FC。今節も引き続き「まちじゅうエヴァンゲリオン×レノファ山口FC」コラボユニフォームを着用し、激しいスタメン争いを勝ち抜いた選手たちが、2連勝が懸かる栃木SC戦に臨む。
レノファはリーグ戦翌日のトレーニングマッチも公式戦と同じフォーマット(45分を2本)で行い、55.五十嵐太陽の実質的なハットトリックで計4-2で勝利した。リーグ戦と練習試合はいずれも大分を相手にボールを持てる時間帯を作った。充実した内容でチームの底上げが進んでいるのは、今後への追い風になる。
ただ、今節は相手のフォーメーションが大分とは異なるため、もう少し幅を使って押し込んでいく必要がある。相手ウイングバックの背後、すなわち3バックの脇などを生かせるとチャンスは広がるだろう。それでもボランチの供給がカギを握るのは変わらない。8.佐藤謙介や18.相田勇樹、37.田邉光平などのボールさばきに要注目だ。
栃木SCは5月に小林伸二監督が就任した。前回対戦よりも守備組織が整理され、ハイプレスを仕掛ける一方、帰陣からのブロック形成も素早く、バランスよく使い分けている。攻撃では長身選手をターゲットにボールを送ることが多いが、周りの動き出しが良く、FWの宮崎鴻(背番号32)や矢野貴章(同29)に収まったボールから攻撃のギアを上げる。
長いボールを攻撃のスイッチにすることやカウンターの鋭さはそれほど変わっていないものの、セカンドボールへの周囲の反応が素早く、インサイドハーフやボランチがボールを拾って、両サイドに展開したり、相手陣で細かく動かしたりする。その戦い方は、前回対戦よりもブラッシュアップしてきている。
栃木のヘッドコーチには、4.サーラット・ユーイェンが所属していたBGパトゥム・ユナイテッドFCでコーチをしていた長島裕明氏が就任した。小林監督と長島氏は一緒にJクラブを指揮してきたことがあり、最近ではJ3ギラヴァンツ北九州でボールを攻撃的に動かしていくスタイルを築いていた。
ボール保持の意識を高めてきているレノファにとって避けたいのは全体の間延びだ。ただ、相手のハイプレス、ロングボール、カウンターといった攻守の手法に振り回されると、容易に間延びが起きてしまう。今週のトレーニングではコートの幅を狭め、プレスが掛かりやすい状況の中でボールを動かすなど、対応力の強化を図った。
攻守のバランスを保つには最前線でプレーするFW陣の判断も大事になる。19.山本駿亮は「栃木は前からハードワークするチームでもあるし、5バックになると守備が堅い。そういう栃木を攻略することで、やるべきことは明確になる。勝ちに持っていけるようにしていきたい」と強調。2戦連続のホーム戦でもあり、「前節が1万人の中で実りあるゲームになったのは選手としても幸せなことだった。次は得点も決めていけるように頑張りたい」と誓う。
各ポジションの対決も楽しみだ。FWでは51.酒井宣福と相手の宮崎は役割が似るほか、GKではレノファが38歳のベテラン21.関憲太郎がゴールを守る一方、栃木も8月30日に38歳になる丹野研太(背番号27)が先発を続けている。こうした対決は分かりやすくもあり、夏休みのひとときを家族で語らいながら見るのも良さそうだ。
試合前には「まちじゅうエヴァンゲリオン」とのコラボ企画で歌手の高橋洋子さんが来場して、代表曲「残酷な天使のテーゼ」を披露する。エヴァファンはもとより、志垣良監督も「本当は試合前のミーティングをせずに聴きたい」と話すほど楽しみな企画が、熱戦の号砲になる。
羽根を授けられたレノファイレブンは、今節も熱い夏の試合で、光を放ってくれるだろう。
今節も熱い応援、熱い試合で、輝く勝利へと突き進んでいこう!
前節の大分トリニータ戦で5月以来のスタメンを掴んだ13.板倉洸。「久しぶりの先発だったので緊張しました」と振り返るが、ディフェンスラインを統率して無失点での勝利に大きく寄与した。
「たくさんのお客さんが入った中でチームとして勝てたのが良かった。それが本当に一番です。立ち位置を少し変えてやっていこうというところでも、うまく機能した部分がありました。中断期間で取り組んだことも出せたのは良かったと思います」
ボールポゼッションに関して板倉は「真ん中の選手たちがみんな上手いから」と謙遜するが、サイドバックでのプレー経験も生かして、ポジション取りやファーストパスでのエラーを抑え込んだ。
「スペースがある中でボールを受けてヨシくん(吉岡雅和選手)やタカくん(前貴之選手)に付けるとか、そこからどう運んでいくかは意識して試合をしていました。真ん中の選手たちは空いているところを見つけるのも上手いので、真ん中の選手たちが動きを見逃さないようにしたいです」
もっとも板倉は「中盤に差し込めるのであればそれも狙いたいですが、(DFから一気に相手の)背後を狙うというのも持ち続けています」と強調。長めのボールとショートパスを使い分けて、効果的な攻撃をする姿勢を示す。
もちろんディフェンスラインの選手としては無失点で勝つことこそが最大の功労だ。守備にフォーカスすると、板倉をヴァンラーレ八戸、FC大阪でも起用してきた志垣良監督は「まだ板倉もポジションを勝ち取れたわけではなく、(大分の)長沢駿選手には2度も(ヘディングを)叩かれている」と手綱を締め、一層の成長を促す。
栃木も前線にハイターゲットを置いているだけに、大分戦での課題を成果につなげなくてはならない。板倉は次のように試合を展望する。
「栃木は大分よりも縦に早くやってくると思います。矢野貴章選手、宮崎鴻選手は強くて速い。身体的な特徴がある選手に対して、自分たちがラインを下げられてしまうと良さが出てしまう。勇気を持ってラインを上げ下げする細かさも、後ろの選手にとっては重要です」
矢野とマッチアップした前回対戦は、板倉にとってはJ2リーグ戦に初先発した試合だった。「すごく緊張したし、すごく印象に残っている試合」は、スコアレスドローで勝点1を掴んだ。
前回対戦から約4カ月。先発から離れてベンチスタートやベンチ外も経験したが、単純な1対1はより強くなり、ラインコントロールや組織守備のために求められる声の質と量もストロングに変わってきている。
板倉は「試合になって急にできるわけではないので、積み重ねがあるからこそ大丈夫だと思えるようにしたい」と言い、こう続ける。
「攻守でうまくいったことと、もうちょっとだったことを自分の中に落とし込み、ゲームに出せるようにしたい。チームが進化するのと一緒に自分も成長できるのが一番。スタジアムにはお客さんもたくさん来てくれるので、僕らがしんどいなんて言っていられないし、またホームで勝てるように頑張っていきたい」
J2の舞台で自信を深めてきている板倉洸。守備の要として台頭してきているが、決して足を踏み外さず、実直なプレーで多くの信頼を集めている。今節も猛暑下の試合で汗を流し、攻守で勝てる試合を作り出してみせる。

相手から捕まりにくい流動的な動きを意識してやっています。立ち位置で相手を惑わすというところでは、大分戦ではサイドバックの前選手(前貴之選手)の動きを見ながら自分が中に入ったり、サイドバックが外に出たりという動きを考えながらやっていました。近くポジションの選手を見ながらプレーして、良いポジショニングから良いプレーができたと思います。
本当に暑い時期なので、よりボールを持って相手を疲れさせるということは意識してやっていきたいです。中断期間で取り組んだことも出せたのはポジティブに捉えています。ミドルシュートも決めることができたら大きいと思います。打たないと入らないですし、狙っていきたいです。
前から来るチームには単調な攻撃になっている試合は多かったと思うので、栃木戦も恐れずにつなげるところはつないで、自分たちの良いところを出していきたいと思います。相手を見ながらにはなりますが、前半戦に積み上げてきたものを継続し、中断期間でやってきたこともやり、頭をやわらかく、臨機応変に対応することが大事だと思います。
新たなことにもチャレンジしていますし、もっともっと良くなるという感覚があります。ボールを保持する時間を増やしていきたいというのはありますが、今まではプレッシングが早いとか、強度で上回られるとか、そういう相手に負けていたことがあったので、相手の強度が高くなってきたときにどういう戦い方ができるかが一番の鍵になると思います。
八戸時代も蹴ることが多かったので、自分自身はあまりボールを握るということはなかったです。ボールを握ることで成長したいと思っていますし、そういうチームとしてレノファを選んだというのもあります。同じポジションに上手い選手たちが本当に多いので、練習からも学ばせてもらっています。ただ、ボールを握れば点が入るわけではないので、背後を狙ってゴールに直結させたり、落ち着かせるところは落ち着かせて試合を進めたりしたいです。
栃木戦は相手は5バックなので、その部分も含めて、トレーニングで確認しながらやっていきたいです。どの試合でもセカンドボールも大事だと思いますし、そこで上回れれば試合は優位に進められれると思います。そこでも対応できるように頑張りたいと思います。
前節フォーメーション
前節ハイライト
前回対戦ハイライト
スタッツ
栃木SC PICK UP PLAYER
大森渚生選手(背番号6)
前節で1ゴール1アシスト
攻守に関わるレフティーに要注意
前節のロアッソ熊本戦で1ゴール1アシストを決め、2-0で勝利する流れを作り出した。6月以降は先発から遠ざかっていたものの、前節は左センターバックのラファエルが開始早々に負傷。緊急出場となった大森渚生は投入直後のフリーキックに飛びついて先制点を決めると、後半にはコーナーキックのチャンスで左足から精度の高いボールを送り、宮崎鴻の追加点をアシストした。
栃木で3年目のシーズンを迎えている。大森はセンターバックとウイングバックを持ち場にしており、そのユーティリティーさも武器だ。レノファとの前回対戦では左ウイングバックでフル出場。クロスやプレースキックで攻撃に関わり、守備の局面では対人守備の強さを見せている。
前節で結果を出したこともあり、再び先発に選ばれる可能性はある。その場合、システム上は16.吉岡雅和とのコンタクトが増えることになる。今の栃木はマンツーマン気味には来ないかもしれないが、吉岡など右サイドの選手にとっては大森のプレスをいなす必要があるほか、大森のキック精度が高いだけにチームとしてはセットプレーを簡単に与えないように気をつけたい。
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