

前節は首位・清水エスパルスに快勝し、レノファ山口FCは同節終了時点で5位に付けている。J1昇格プレーオフ圏内で前半戦を戦い終えるのは確実だが、停滞することなくレノファは上へと歩み続けなければならない。今節はジェフユナイテッド千葉を迎えてのナイトゲーム。やはり絶対に負けられない試合が始まる。
今週は中5日と少し短めのインターバル。また来週は天皇杯2回戦が入る連戦となるため、スケジュールはタイトだ。それでも6月3日にはJ3ギラヴァンツ北九州との練習試合を組み、ボトムアップを図った。試合は55.五十嵐太陽とU-18から参加した井平幸輝が得点を決めたほか、11.田中稔也が積極的に声を出して周りを動かし、充実した内容となった。
リーグ戦前節の清水戦では久しぶりの先発となった16.吉岡雅和や出場時間が少し短くなっていた8.佐藤謙介がゴールを決め、途中出場した13.板倉洸や14.沼田圭悟も落ち着いたゲーム運びで勝利に貢献した。控えに回っていた選手たちの公式戦や練習試合での躍動が先発組にも刺激を与えており、指揮官を良い意味で悩ませるほど選手層が厚くなってきている。今節も志垣良監督がどういうメンバーを選ぶのか、とても楽しみだ。
相手の千葉は7位で、レノファとの勝点差は4ポイントと接近する。千葉はボールを持つ時間帯もあるが、最終局面ではクロスボールも多用している。彼らの質の高いクロスは大きな得点源だ。
千葉は前節のファジアーノ岡山戦を2-1で勝利しており、2ゴールともクロスボールが契機となった。田中和樹(背番号7)のクロスから田口泰士(同4)がボレーシュートをしずめて先制し、日高大(同67)の左からの供給が小森飛絢(同10)の勝ち越し点につながった。クロスにはFWのほかにボランチや逆サイドの選手も入ってきており、攻撃は分厚い。チームの総得点はリーグトップの37点で、8-0や7-1という試合もある。
逆にレノファはリーグで2番目に失点が少なく、良い守備から良い攻撃へとつなげられているが、それでもクロスを簡単に上げられると苦しい展開になってしまう。クロスを上げさせないためのサイドの攻防は必然的に熱いものになり、15.前貴之や16.吉岡雅和、48.新保海鈴が相手をいかにスピードダウンさせるかが守備面のポイントになる。
試合全体ではサイドの攻防が続く一方で、攻撃に転じた時のレノファがサイドよりも少し内側のレーンでボールを動かせる可能性は高い。
清水戦では内側に絞った位置にいる20.河野孝汰に向けて、3.ヘナンなどからの縦パスが通る場面が何度もあった。一発で19.山本駿亮や24.梅木翼などにロングボールを当てたり、9.若月大和を背後に走らせるというのも手ではあるが、河野や吉岡を起点にして中や外を攻略するというのは、今節も十分に使えそうな手段。相手ボランチの脇でボールを引き出そうとする両サイドハーフの動きにも注目してほしい。
さて、今節はリーグ戦の前半戦を締めくくる試合であるとともに、クラブにとっても節目の試合になる。レノファの初代監督を務めた宮成隆元GMが志半ばで逝去してまもなく11年。
その日(6月9日)を翌日に控えた6月8日のホームゲームは、Jリーグを夢見て、地域リーグ時代からレノファの灯をともし続けた先人たちにも感謝の思いを届けたい。
「レノファを支えてきてくれた方々なくしては今がないと思っています。これからのレノファをもっともっと盛り上げていくためにも、そういった方々に感謝をしながら、新たな歴史を作り、良い方向へと発展させていきたいです」
キャプテンの20.河野孝汰はそう誓う。いろいろな選手やスタッフ、サポーターが交わり、紡いできた歴史は誇れるものだ。そして、今こそレノファ史の新たな一ページを開きたい。さらなる高みを目指す勝利を、ともに。
さあ総力で今節も戦っていこう。
9.若月大和は高校在学中に湘南ベルマーレの特別指定選手となってJ1リーグ戦にデビューした。2020年にはスイス1部のFCシオンに期限付き移籍で加入。コロナ禍という難しい時期に重なったが、約2年間を欧州に身を置いてリーグ戦でプレーするという貴重な経験を積んだ。
湘南に復帰後は決して満足に試合に出られたわけではないが、リーグ戦やカップ戦でピッチに立ち、存在感は示した。そして今年、「一番にオファーにしてくれたのがレノファだった。ここで成長していきたい」とレノファ山口FCへの移籍を決断した。
横浜FCとの開幕戦では37.田邉光平のインターセプトを24.梅木翼がつなぐと、ペナルティーエリアの右を抜けてシュートを振り抜いた。名刺代わりの一発と言うにはミートしきれなかったが、「打たないと始まらない」という積極性でゴールネットを揺らす。
レノファは今シーズン、その梅木をターゲットにした競り合いの場面は多い。ただ、攻撃はそれだけではなく、相手の背後を突いたスプリントや細かな連係での崩しも多用する。若月のストロングポイントはドリブルや背後への動き出しなどの地上戦で、右サイドでは16.吉岡雅和や68.野寄和哉とのコンビネーションが深まっている。
「試合を進めていく中で、右サイドとの関係性はどんどん良くなってきています。これまでの試合では海鈴くん(新保海鈴選手)が左サイドで崩していくというシーンは多かったですが、警戒されてきている時にも右サイドで崩していければと思います」
2節前の大分戦では野寄が運んで左のポケットに走った梅木に供給、その折り返しを若月が狙うというシーンを作った。チャンスの質は確実に上がってきており、若月は「あれを枠に入れられる選手にならないといけない」と熱を込め、「試合を通じてチャンスはある。後ろは無失点で守ってくれているので、練習や自主練習でもそういうところは意識しています。決めきれるようにやっていきたいです」と話す。
FW陣のもう一つの役割はボランチとともに掛けていくプレスだ。若月は相手の動かし方に合わせてプレスを掛け、あわよくばボールをそこで回収。ボールを奪いにくい相手でもレノファの後方の選手が奪い取れるような方向へと誘導する。そつなく、高度に守備をはめていくのも若月らしい。
報道陣から守備について質問を受けると、若月は「奪えなくても相手が前進できない守備ができていて、ハードワークをみんなが惜しまずにやれています」と言い、こう続ける。
「田邉光平くんもアラートにやってくれています。FWが左右に開いて、光平くんがプッシュしていく。勇樹くん(相田勇樹選手)がめちゃくちゃ走れるので、(同じプレーが求められる)光平くんはまじできついと思うんですが、惜しまずにやってくれる。そこで崩されるというのは少ないと思います」
ストライカーは自分自身のプレーにフォーカスする選手も多いが、若月が開口一番に話すのは周りの良さだ。報道陣が若月を囲んでの10分弱の取材の中で、梅木や新保、相田などの5人以上の名前を挙げ、彼らのハードワークを讃えたうえで、自分がどうプレーしていくかを語る。そんなところにも若月の人柄がにじむ。
直近のゴールは5月19日の藤枝MYFC戦で、若月が新保のクロスに合わせて先制した。2-1で勝利した試合のあとも、言葉は実直。「追加点が取れなくて楽なゲームにさせられなかったのは悔しい。交代したあともベンチから声を出して願いながら、本当に良い形で勝利ができた」と素直につづった。
仲間を思うからこそ結果にもこだわりたいと誓う。今節は順位の近いジェフユナイテッド千葉と対戦で、勝利にはもちろんゴールが必要だ。「決めるためにはシュートの本数を増やさないといけない。ストライカーである以上、貪欲にゴールを決めるということを続けていきたい」。ハートを熱くする9番に期待が集まる。

自陣からノーリスクで背後を取っていくというところでは、背後を狙うボールも蹴っていますし、セカンドボールの回収も数字的にも良いです。それを警戒して相手が出て来なくなったら、逆にそこでつないでいく。そういう使い分けはできてきていると思います。相手が引いてもミスマッチを作ってスペースを使っていくこともできていて、練習からも意識してやれています。今までやってきたことを徹底し、課題を修正し、レベルアップして、高い順位のまま終盤まで戦っていければと思います。
やはり背後への意識がないと相手のディフェンスラインは下がらないので、そこは徹底してやっていますが、前線が動き出すタイミングも早いと背後も取りやすいです。その点では後ろと前の連係がうまくできています。それがなくなると自分たちのリズムがなくなるので、特に前半でその戦いができているのは良い方向につながっていると思います。
千葉は早い攻撃もしてきます。大量得点で勝っている試合も数試合あって力があるのは間違いないですが、自分たちも攻撃で相手の隙をしっかりと突けるようにやっていきたいです。相手に隙ができるために、どのように相手の嫌なことをやっていくかはチームで調整して共有してやっていきたいと思います。
清水戦の途中からトウア(末永透瑛選手)と2トップを組めたことは、レノファで育ってきた僕らとしては良かったと思いますが、出ているだけではなく結果という形で盛り上げていきたいです。もっともっと自分とトウアだったり、シュンくん(山本駿亮選手)だったり、山口出身の選手が盛り上げていくことが、山口県の盛り上げにもつながっていくと思います。
千葉さんは本当に力があるチームで、大量得点ができるチームだというのも分かっています。いかに受けずに、自分たちのペースでアクションを起こし、ショートカウンターなどにつなげていけるか。守備のところも含めて積み上げてきたことをベースにやっていきたいですし、良い守備から入り、一人一人が持っている持ち味を出して戦っていくことが大事だと思います。
まだ順位は団子状態ですが、上で競うほうがメンタルとしてもプラスの部分がありますし、もっともっとできるというエネルギーは良いことだと思います。でも現状に満足せずに、ここからも毎試合成長していると思われる試合をしていきたいです。今までで一番充実しているシーズンだと感じていますが、これを良い結果につなげていきたいです。
前節フォーメーション
前節ハイライト
前回対戦ハイライト
スタッツ
ジェフユナイテッド千葉 PICK UP PLAYER
髙橋壱晟(背番号2)選手
2018年にレノファでプレー
攻撃参加も得意なサイドバック
開幕からの全試合に先発している髙橋壱晟(背番号2)は千葉の攻守で不可欠な存在となっている。第8節栃木戦ではミドルシュートをゴール左にしずめ今季初得点も奪取。その試合は千葉が8得点を挙げる試合だったとはいえ、後半5分のゴールは相手の勢いを削るものとなり、鈴木大輔やドゥドゥのゴールラッシュにもつながった。
2017年に千葉でJリーグデビューを飾り、18年はレノファに期限付き移籍してリーグ戦10試合に出場した。同年は10.池上丈二、15.前貴之などとともにプレーしたほか、17年は6.キム・ボムヨンとも同じピッチに立っている。
髙橋は右サイドバックで出場し、一列前の田中和樹や左サイドの動きを見て少し内側のレーンに構えたり、したたかに前線に入ったりする。レノファは基本的には37.田邉光平、48.新保海鈴がマッチアップすることになりそうだが、髙橋がペナルティーエリアに入ってきたら前やキムとの勝負にもなるだろう。特徴を良く知る者同士の対決にも注目したい。
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