

連敗を止めたいレノファ山口FCは今日、秋田市のソユースタジアムで4位のブラウブリッツ秋田と対戦する。
今年のスローガンを「シン・秋田一体」とした秋田は、4-4-2の堅牢なブロックと球際での厳しいディフェンスが特徴。文字通り、一体感のあるサッカーを全員で志向している。
秋田のディフェンスは2段階に分けて捉えることができ、2トップは厳しいプレスで相手のパスの出どころを限定する。予想フォーメーションでは青木翔大(背番号40)、梶谷政仁(背番号17)を2トップとしたが、誰が入ってもそのタスクを献身的にこなす。
後方では最終ライン4枚と中盤4枚がコンパクトに網を張って、相手の侵入を防ぐ。ここでは組織的なディフェンスが機能しており、開幕から全ての試合で1失点以下という堅守を支えている。
これらのディフェンスは崩れにくく、1週間前に秋田と対戦した徳島ヴォルティスは、一時は75パーセント前後の圧倒的なボール支配率を見せたが、危険なエリアに入るには苦労を強いられた。レノファにとってはブロックをどう攻略するかがカギを握る試合になる。
一方で秋田のサイド攻撃への対策も必要だ。特に右サイドハーフの中村亮太(背番号9)は効果的にボックス内に入り、左からのクロスボールをシュートに結びつけている。一人で仕掛けても、コンビネーションで崩しても高いパフォーマンスを発揮する選手だ。
ただ前節の試合途中で負傷のために早い時間で交代しており、欠場する可能性もある。
もっとも小暮大器(背番号24)もカウンターの鋭い矢になれる選手で、レノファとしてしっかりとした対応が必要。右サイドバックの高田椋汰(背番号22)はロングスローから決定機を作り出しており、安易にスローインに逃れるのも避けたい。
攻守で特徴がある秋田に立ち向かうレノファ。
今節の注目点に挙げられるのが、名塚善寛監督が採用するフォーメーションだ。

前節途中までは基本的にはDF4人、中盤3人、前線3人の「4-3-3」をベースとして戦ってきており、予想フォーメーション図も「4-3-3」にしてある。中盤は三角形と逆三角形の2パターンがあり、図上は佐藤謙介、矢島慎也がダブルボランチを構成し、五十嵐太陽をそれよりも少し前に置いた。
前節の藤枝MYFC戦では前半はプレッシャーが思うように掛からず、後半は相手と同じフォーメーションの「3-4-2-1」に変更。誰が誰にプレスに行くかがはっきりし、レノファが一時的にせよ流れを引き込むことに成功している。
今節の秋田に対しても、なるべく高い位置から相手のボールポゼッションを阻害したい。この狙いから、もしかしたら相手と同じフォーメーションを組む可能性もある。
つまり五十嵐太陽や河野孝汰が一列前に出て、皆川佑介とともに2トップ気味にプレスを掛けるということも選択肢の一つになりそうだ。
もっとも、相手と完全に同じフォーメーション(4-4-2)にするというのは諸刃の剣。
秋田にとってもプレッシャーを掛けやすくなり、レノファの選手たちがもろにプレスを受ける状況になりやすい。「個人的には前から来てくれたほうがはがしやすく、攻撃を作れるイメージはある」と話す前貴之はそういう状況を逆手に取れるプレーヤーだが、まだ全員がプレスを回避できるわけではなく、危険な勝負になるかもしれない。

レノファは直近3試合で計11失点を喫している。
相手からのプレッシャーを受け流せず、ミスを冒してしまうシーンも目立つ。前が話すようにプレスをうまくはがしたり、相手に捕まらないポジションを流動的に取ったりできれば問題はないが、フォーメーション上のリスクに目をつぶるにはもう少し時間は掛かりそうだ。
そうであれば、初めから相手に捕まりにくいフォーメーションを組む可能性もある。
例えば、中央で数的優位を作りやすい「3-4-2-1」、サイドや前線に厚みを持たせることができる「4-1-4-1」などもオプションになる。はたしてどのようなフォーメーションを名塚監督が採用し、90分を戦っていくのか。試合開始までにいろいろと考えるのも楽しい。
そして試合が始まれば、レノファらしい戦うサッカーを表現するのみ。
今日は連敗のトンネルを抜け、敵地でもヤマグチ一番を高らかに歌うべき試合だ。現地やDAZNを通じて声を届け、レノファも一体となって熱く戦う選手たちの背中を押していこう!
DAZNでもさまざまなデータが表示されるが、このプレビューの画面でも下部に前節までの両チームのデータが表示されている。今日はこのデータにも注目したい。
八角形のレーダーチャートとなっているのが、チームの基本的な数値で、どのようなスタイルで戦ってきているかが良く分かる。こういうチャートだと各数値が高いほど良さそうに見えるが、この図表に関しては決してそうではない。
レノファは「パス」を多用して敵陣に入り、「クロスボール」からシュートシーンを多く作り出しているため、それらの数値が高いほど良いのは間違いのないところ。しかし、個人で打開していく「ドリブル」や、安易に蹴り出す「クリア」が増えてしまうと、レノファの望むようなサッカーではなくなってしまう。なるべくならボールをつないでチャンスを作りたいため、左下と右上が少し凹んだようなチャートになっているほうが理想に近い。
対する秋田のチャートはどのようになっているだろうか。本稿執筆時点とはもしかしたら少し異っているかもしれないが、「クロス」や「クリア」が多くなっていると思われる。
長めのボールを選択して縦に素早く攻撃していくという秋田のカラーを示す一例だ。
意外に感じられるのが秋田の「タックル」が低いスコアに留まっていることだ。
秋田といえば対人強度の高さが武器で、タックルは多そうに見えるが、実はタックルを仕掛けているのは本当に危ない場面のみ。実際には4-4-2のフォーメーションを使ってブロックを築き、相手のボールを組織の網で絡め取っている。
レーダーチャートの下には得点パターンが示されている。まだシーズン序盤でサンプルデータが少ないものの、レノファは「こぼれ球」からの得点が最も多いことが分かる。「こぼれ球」という文字だけを見れば、何となくネガティブなイメージをしてしまうが、「こぼれ球」を決め切れているというのは良い傾向ではある。
「こぼれ球」が生まれるためには、パスを出す選手がいて、シュートを打つ選手がいて、相手に跳ね返されても、「こぼれ球」に詰め寄る選手がいたと考えられ、多くの人数がシュートに関わっていることを示している。できるならば1本目シュートがすんなりと入ってくれればよいが、前線に人数を割けている証拠だ。
対する秋田はクロスボールからの得点が最も多く、秋田の攻撃でのストロングポイントにも合致する。
これらの数字を見るだけでもレノファが攻める時の注意点が浮かび上がる。すなわち、闇雲に攻めてもブロックに弾かれるだけだし、弾かれると長いボール(クリアボール)を蹴られたり、クロスボールからチャンスを作られたりする――。
そうならないための堅実な攻撃を遂行し、なるべくならシュートで攻撃を終えたいところだ。また、もし相手に攻め込まれたら、簡単にクロスボールを上げさせないことと、上げられても中央で粘り強く対応する守備が求められる。
データはいろいろなサッカースタイルがあることを、数字で教えてくれる。特に今日はプレースタイルが大きく異なるチームの対戦のため、試合中にDAZNが示すデータもかなり両極端なものになるだろう。
今日は下関市と周南市でパブリックビューイングが行われる予定だ。
試合開始までのしばらくの間、こうした数字を読み解きながら、秋田にどう立ち向かうべきかを会場に集った仲間同士で考えてみるのも良さそうだ。



2023年3月28日現在
