TOP HISTORY 15年の軌跡 リレーコラム

山本アンバサダーコラム

レノファの母体となった県サッカー教員団でDFとして国体に3度出場。1990年から16年間は監督を努め、チームを天皇杯に4度導いた。2006年のレノファ山口設立のメンバーの一人で、現在もクラブの「アンバサダー」としてホームゲームの運営やPR活動に携わる。2021年4月、取締役に就任。教師としては萩商工高、下関商業高、西京高の校長などを歴任し、山口高時代はレノファの河村孝社長の担任を努めた。選手たちとも親交が深く、オフは一緒に出かけることも。

最終話 2020年

霜田監督体制3年目
コロナ禍でのリーグ開催
最下位に沈むも降格なし

 J2リーグ参入5年目を迎えたレノファ2020年シーズン、チームは例年より早く1月7日から始動し14日には山口大神宮での必勝祈願を行いました。19日に開かれた新体制発表会においてスローガン「GO CRAGY 昇格に狂いたまえ」が発表され、キャプテンには10番を背負うMF池上丈二選手、副キャプテンにベテランのDF菊地光将選手そして若きハードワーカーMF高宇洋選手が就任しリーグに挑んでいくこととなりました。

2020シーズン選手&監督

 1月23日からスタートしたタイキャンプを2月9日に打ち上げ、その後開幕までの2週間でチーム戦術のさらなる浸透を図り開幕を迎えました。8424人が詰めかけた京都サンガF.C.との開幕戦はオール・レノファで1-0のクリーンシートを達成し歓喜の”ヤマグチ一番”が大きく響きました。スタメンはGK吉満大介(現/レノファ山口)、武岡優斗(引退)、菊地光将(現/レノファ山口)、サンドロ、へ二キ(現/レノファ山口)、池上丈二(現/レノファ山口)、高宇洋(現/J2アルビレックス新潟)、安在和樹(現/J2東京ヴェルディ)、森晃太(現/J3福島ユナイテッド)、イウリ、高井和馬(現/レノファ山口)選手の11名、ベンチメンバーにはGK山田元気(現/レノファ山口)、ヘナン(現/レノファ山口)、村田和哉(引退)、清永丈瑠(現/J3ガイナーレ鳥取)、吉濱遼平(現/J3岐阜)、佐藤健太郎(現/レノファ山口)、小松蓮(現/レノファ山口)選手ら7人。前年11月16日のホーム最終戦メンバーでこの日先発したのはGK吉満大介選手とMF池上丈二選手だけでした。ゲームは前半12分にキャプテン池上丈二選手が迷い無く右足を振り抜いたシュートが相手GKのキャッチの難しさも誘いレノファの2020シーズン初ゴールとなりました。池上丈二選手は開幕戦をスタメンで迎えるのも初でした。この先制点をアドバンテージとして時間帯に応じた戦い方を演じ見事に勝ち点3をつかみ取りました。全選手が献身的なプレーをやり続け、特に最前線のイウリ選手の頑張りは攻守の推進力を高めていました。

2020年開幕戦勝利後、選手・監督たちの円陣

 開幕戦勝利の勢いを関門海峡ダービーとなる第2節ギラヴァンツ北九州戦に、と期待していた2月25日にJリーグは新型コロナウィルスの感染拡大を受け3月15日までに予定していた全公式戦の開催延期を決定しました。この決定を受け入れ感染予防策を徹底しながら再開に向けて準備をしていくこととなります。その後Jリーグは再開の延期再延期と中断が長引き、緊急事態宣言が解除され新しい生活様式を実践していく中、J2リーグ再開は6月27日からと決定し、対戦カードは全て組み直されリモートマッチ(無観客試合)も開催されることになりました。またJ2リーグは上位2チームがJ1へ自動昇格、J1参入プレーオフなし、J3降格なし等の「特例ルール」の適用が発表されました。6ヶ月という短期間での過密日程、とりわけハードな5連戦が6度組み込まれました。猛暑による熱中症対策・コロナ感染防止対策・アウェー試合での移動負担・累積警告等の出場停止などに対応対策しつつ各チームとも総力戦となってきます。
 6月27日、リーグ再開初戦となったファジアーノ岡山との一戦は京都戦からスタメン変更がありサンドロ選手にかわり楠本卓海選手がDFラインに入りました。試合立ち上がりからイウリ、高井和馬両選手が攻守に躍動しともに1ゴール1アシストと存在感を示し2点先取しましたが、圧力をかけ続ける岡山の攻撃力を押し返すことができずに2失点を喫して悔しさと課題を残す結果となりました。

新型コロナウィルスの感染拡大以降は入場者数にも制限がもたれた。

 その後10試合は2勝1分け7敗となかなか勝ち点を積み上げることができずに苦しい戦いが続きました。そうした中、第8節首位を独走するV・ファーレン長崎をホームに向かえての一戦で河野孝汰選手が高宇洋選手とのワンツーパスで抜けだしゴールネットを揺らしJ2リーグ歴代最年少ゴール記録を16歳11ヶ月7日と更新しました。今後も努力を重ね着実に成長してくれることを期待しましょう。

J2リーグ歴代最年少ゴールを決めた河野選手

 9月23日、東京ヴェルディ戦。2―1で競い勝ち8試合ぶりの勝利にみらスタは笑顔満載の夜となりました。浮田健誠選手が得意の左足を振り抜き2ゴール、GK吉満大介選手のPKストップは元気・勇気・感動をもたらしてくれました。それから4日後敵地に乗り込みジェフユナイテッド千葉との雨中での戦いは高井和馬選手と小松蓮選手がネットを揺らし2-1で勝利し今季初の連勝、攻守に躍動した橋本健人選手(慶應義塾大学在学中)にも大きな期待が膨らむ試合となりました。
 上昇を懸けて臨んだ後半戦も失点を重ねるゲームが続き第28節の徳島ヴォルティス戦から第38節のヴァンフォーレ甲府戦までの11試合は勝ち無し(1分10敗)、中でも第32節のFC琉球戦(この敗戦で順位は最下位22位に沈む)から第38節のヴァンフォーレ甲府戦まで7連敗ととても厳しい結果となりました。最終盤の4試合は2勝2敗と頑張りましたが時すでに遅し、年間成績は9勝6分け27敗/勝ち点33、得点43・失点74(得失点―31)と大きく沈み最下位に終わりました。悔しさ一杯、勝利をつかむことが難しく過酷なシーズンの幕は閉じ霜田正浩監督の退任発表がありました。3年間、レノファ・イズムを創出してくれた霜田監督に感謝!

 最下位という現実を受け止めながらも「逆境に悲観することなく」、前進あるのみです。コロナ禍で過酷な日程となったリーグも無事全日程が終了し、J2に関しては安定感のある試合運びと勝負強さが際立っていた徳島ヴォルティスとアビスパ福岡がJ1へ昇格、ブラウブリッツ秋田とSC相模原がJ2初昇格を決め次年度全22チームの顔ぶれもそろいました。2021シーズンはJ3への降格は4チームと決定しており前年度戦績でいえばレノファ山口は降格最有力候補ということになります。その巻き返しの命運を懸けJ1ベガルタ仙台で6年間に渡り監督を務めた経歴実績を持つ“情熱あふれる“渡邉晋新監督の就任発表がありました。12月23日にはバーチャルファン感謝祭があり選手たちのトークショーを楽しむと同時にコロナ禍で多くのものが見え新たに感じたこともあります。一日も早く不安無くスポーツを楽しむことができる日が訪れることを願っています。

 宮成→月岡→河村→中山→上野→猿澤→マジョール→霜田→渡邉監督へと熱き志は脈々と受け継がれレノファ山口の挑戦は歩みを止まることなく続いています。山口県サッカー教員団からレノファ山口創設、そしてレノファ山口創成期から15周年、そして未来へ。これまでクラブを支えてくださっているファン・サポーターやボランティア、スポンサー企業、マスメディア関係、地域の皆様などすべての方々のおかげでこうして成長を続けられていることに心より感謝申し上げます。引き続きレノファ山口に対するご支援ご声援よろしくお願いいたします。
2月から2週間ごとに掲載となりましたレノファ15周年記念特別コラムも本号が最後となりました。約6ケ月、拙文にお付き合いいただきありがとうございました。2021シーズンの佳境に入る残り16試合での勝利を願いつつ筆を擱くことといたします。皆様に感謝!!

2021年8月28日 モンテディオ山形戦の勝利後に選手と喜びを分かち合う筆者・山本


Copyright © RENOFA YAMAGUCHI FC