TOP HISTORY 15年の軌跡 リレーコラム

山本アンバサダーコラム

レノファの母体となった県サッカー教員団でDFとして国体に3度出場。1990年から16年間は監督を努め、チームを天皇杯に4度導いた。2006年のレノファ山口設立のメンバーの一人で、現在もクラブの「アンバサダー」としてホームゲームの運営やPR活動に携わる。2021年4月、取締役に就任。教師としては萩商工高、下関商業高、西京高の校長などを歴任し、山口高時代はレノファの河村孝社長の担任を努めた。選手たちとも親交が深く、オフは一緒に出かけることも。

第12話 2017年

J2昇格2年目の厳しさ 残留争いに巻き込まれ監督交代! 上野(15試合)~猿澤(2試合)~マジョール(25試合)

  多くの選手の入れ替わりがあり「志 心ひとつに」をチームスローガンに掲げ上野監督体制4年目がスタートしました。1月18日からは宮﨑キャンプを10日間、渡辺広大・小塚和季・小野瀬康介・佐藤健太郎・池上丈二選手ら新加入の13名を含め選手たちは寝食を共にする環境下、ピッチ内外において積極的にコミュニケーションを図り、シーズンを戦い抜くための体力強化、チーム戦術の理解と浸透、連携強化、個々のアピールに取り組みました。キャンプ4日目には主将に鳥養祐矢選手、副主将には渡辺広大選手と三幸秀稔選手という発表がありました。続く熊本県での2次キャンプではTMを2試合行い、2月13日からは宮﨑県綾町で3次キャンプを行いシーズン開幕に向け最終仕上げ。2月19日に行われたJ1サンフレッチェ広島とのプレシーズンマッチは1-4で敗れ多くの課題が出ましたが、新加入選手たちが多い中、一番の収穫はホーム維新でレノファサポーターの熱い志を感じながらピッチでプレーすることができたということでしょう。J2リーグ2017シーズンは11月19日まで長丁場の戦いを繰り広げることになります。

2017シーズン選手&監督

 2月26日、新生レノファの開幕戦はアウェーでFC岐阜に挑み2-2のドロー。スタメンはGK山田元気(現/レノファ山口)、前貴之(現/J2松本山雅)、渡辺広大(現/J2ザスパクサツ群馬)、福元洋平(ヴェルスパ大分で引退)、香川勇気(現/J1大分トリニータ)、三幸秀稔(現/J1湘南ベルマーレ)、小塚和季(現/J1川崎フロンターレ)、清永丈瑠 (現/J3ガイナーレ鳥取)、高柳一誠(現/沖縄SV)、岸田和人(現/レノファ山口)、小野瀬康介選手(現/J1ガンバ大阪)の11名、ベンチメンバーにはGK吉満大介(現レノファ山口)、宮城雅史(現/J3テゲバジャーロ宮崎)、鳥養祐矢(現/J2琉球)星雄次(現/J2アルビレックス新潟)、米澤令衣(現/J3鹿児島ユナイテッド)、佐藤健太郎(現/レノファ山口)、池上丈二選手(現/レノファ山口)ら7人。【対戦相手の岐阜にはへニキ選手(現/レノファ山口)と田中パウロ淳一選手(現/J2松本山雅)がいました。】前半2点リードするも追いつかれ何とか勝ち点1を取ったという試合でした。エース岸田和人選手の2得点、GK山田元気選手の魂のこもったプレー、ルーキー清永丈瑠・池上丈二両選手が開幕戦でデビューしました。

大卒ルーキーで開幕戦に出場した池上選手

 第2節から3連敗、第10節から3連敗となかなか波に乗れず苦しい戦いが続きました。第15節のモンテディオ山形戦も2―3と競い負け。厳しい結果となりましたが、待ちに待っていた和田昌士選手(現/J2SC相模原)のJリーグ初ゴールと大石治寿選手(現/J3藤枝MYFC)のJ2リーグ初ゴールは本当に嬉しかったです。リーグ戦も第15節を終え20位と低迷。2勝4分9敗、勝ち点10単純計算すると10点✕3で年間勝ち点は30点、となると・・・。

 海峡の町・下関での今季初ゲームとなる第16節町田ゼルビアとの戦いを控える5月23日、上野展裕監督の交代劇がありました。上野監督にはレノファJFL時代から約3年半指揮を執っていただきレノファ城の礎を作っていただきました。感謝!今一度チーム名の由来をレノファに関わるすべての人たちが再確認してのスタートとなりました。新監督が指揮するまでの2試合は猿澤真治監督のもと戦いました。町田ゼルビア戦は0―1で負けました(順位は22位となる)が、スタメン・サブメンバー・登録外メンバー・スタッフの全員が一丸となって戦う姿勢や気持ちが強く伝わってきました。加藤大樹選手(現/J2モンテディオ山形)が初スタメンフル出場、池上丈二選手が初スタメンを果たしました。6月3日アウェーでの横浜FCとの一戦、選手・スタッフ全員が一丸となり勝利を貪欲に求め強い気持ちを持って闘いましたが残念ながら0―1で敗戦。視察に訪れていた新監督(このゲーム時点では未発表)の姿もありました。

 そして6月6日カルロス・アルベルト・マジョール新監督就任が発表されました。発表会場は大きな期待感とチーム一体という温かい雰囲気に包まれていました。マジョール監督初采配となるゲームはファジアーノ岡山に0―1で負け。6月21日天皇杯1回戦はザスパクサツ群馬に負けこの結果、リーグ戦に集中するのみとなります。

シーズン途中で就任したマジョール監督

 マジョール監督が指揮を執った25試合は9勝1分15敗となかなか浮上できず讃岐・熊本・群馬、そしてレノファの4チームで最終節まで残留争いを繰り広げることとなりました。夏の移籍期間には香川勇気選手(現/J1大分トリニータ)がVファーレン長崎に、岡本英也選手(現/JFL:MIOびわこ滋賀)が長野パルセイロに完全移籍をしました。
 マジョール監督・ペラルタコーチ・エスクデロ通訳と3人のアルゼンチン人スタッフが並んでいるベンチを見て、改めて”山口にプロ・サッカーチームあり”と実感。と同時にチームが上昇気流に乗っていくためには監督と選手・コーチ陣とのコミュニケーション、双方向の意思疎通がとても重要になってくるなと感じました。

 11月12日アウェー最終戦となった町田ゼルビアとの一戦は星雄次選手がネットを揺らして1-0の勝利、選手たちが体を張り続け意思統一された守備力が勝利をたぐり寄せました。FW大石治寿・岸田和人両選手の攻守わたる献身的なプレーは随所においてアクセントを与えていました。そして何と言っても小塚和季選手の蝶のように舞いDFをかわしてのアシストプレーはスローインを受ける前からの一連の動きが見事でした。今でも目に焼き付いています。

 11月19日いよいよ維新劇場最終幕、2017シーズンメンバーで戦うラストゲームでありJ2残留を懸けた大一番となりました。スタメンはGK村上昌謙(現/J1アビスパ福岡)、宮城雅史(現/J3テゲバジャーロ宮崎)、渡辺広大(現/J2ザスパクサツ群馬)、星雄次(現/J2アルビレックス新潟)、廣木雄磨(現/J2ファジアーノ岡山)、アベル・ルシアッティ、佐藤健太郎(現/レノファ山口)、小塚和季(現/J1川崎フロンターレ)、大石治寿(現/J3藤枝MYFC)、岸田和人(現/レノファ山口)、小野瀬康介選手(現/J1ガンバ大阪)の11名、ベンチメンバーにはGK山田元気(現/レノファ山口)、前貴之(現/J2松本山雅)、鳥養祐矢(現/J2琉球)、パク・チャニョン、加藤大樹(現/J2モンテディオ山形)、和田昌士(現/J2SC相模原)、レオナルド・ラモス選手の7人。シーズン開幕当初からJ3降格という崖っぷち状態を戦い続けてきた中、愛媛との最終戦を1-1で引き分け20位(勝ち点38)、自力残留を決めました。終盤のラスト5試合を3勝1分け1敗と粘り強く戦い勝ち点を積み上げ降格圏脱出、J2リーグ3季目となる2018年に期待を抱かせてくれる戦いとなりました。しかし前年シーズンの12位から大きく後退し平均入場者数も1000人以上の減少、やはりチーム成績は入場者数に大きく影響するという結果を受け止める必要もあります。

2017シーズン最終戦、大石選手のゴール

 多くのファン・サポーターが選手たちと触れあい楽しい時間を共有したファン感謝祭(常にファン・サポーターを大切にする熱きリーダー渡辺広大選手の存在は大きいですね)そしてシーズン報告会を終え全日程が終了しました。その翌日には霜田正浩新監督就任の発表があり、「レノファらしい躍動感あふれるサッカーをしたい。戦う選手の情熱が見ている人に伝わるような試合をしたい。」との監督コメント。期待するとともに来季のチーム編成や戦い方がとても楽しみになってきました。ヴァンフォーレ甲府とアルビレックス新潟と大宮アルディージャがJ1から降格、湘南ベルマーレとV・ファーレン長崎と名古屋グランパスがJ1昇格、ザスパクサツ群馬のJ3降格、栃木SCのJ2昇格(J2ライセンスを持たないJ3秋田の優勝により昇降格は1チームのみとなる)が決定しました。

 シーズン通して降格圏脱出を争うレッドラインで苦しみましたが、次シーズンへの活躍期待値が倍増するように霜田正浩新監督そして名塚善寛コーチと土肥洋一GKコーチの就任、選手の契約更新、移籍等の発表が続きました。そんな中、元日本代表選手でもある坪井慶介選手が湘南ベルマーレから完全移籍加入という発表がされました。1999年11月28日維新スタジアムで第79回天皇杯全日本サッカー選手権1回戦レノファの前身である山口教員団対福岡大学のゲームが行われ、結果は2-3延長Vゴールで教員団は惜敗しました。対戦チーム福岡大学の中心選手として坪井選手が躍動していたことが思い出されます。山口教員団そしてレノファと戦ってきた坪井慶介選手がオレンジのレノファ志士に!感慨深いものがあると同時に胸の高鳴りが大きくなってきたのを覚えています。維新劇場の舞台も新たに「維新みらいふスタジアム」と命名されました。この一年間逆境に苦しみ耐えた経験を糧としてレノファ山口は創設13年目シーズンの新たな戦いに挑んでいきます。


Copyright © RENOFA YAMAGUCHI FC