TOP HISTORY 15年の軌跡 リレーコラム

山本アンバサダーコラム

レノファの母体となった県サッカー教員団でDFとして国体に3度出場。1990年から16年間は監督を努め、チームを天皇杯に4度導いた。2006年のレノファ山口設立のメンバーの一人で、現在もクラブの「アンバサダー」としてホームゲームの運営やPR活動に携わる。2021年4月、取締役に就任。教師としては萩商工高、下関商業高、西京高の校長などを歴任し、山口高時代はレノファの河村孝社長の担任を努めた。選手たちとも親交が深く、オフは一緒に出かけることも。

第11話 2016年

上野監督体制3年目   強豪ひしめくJ2リーグに挑む!   勇猛果敢に戦い12位でフィニュシュ!!

 Jリーグクラブでは毎シーズン、選手たちの移籍や退団、新加入があります。各クラブともに監督・コーチ・選手の入れ替わりがありファンやサポーターは一人ひとり悲喜こもごものシーズンオフを経験することとなります。碇野壱馬選手の引退や小塚和季選手の新潟への復帰、池永航選手はじめ多くの選手たちがチームから離れました。新戦力としてガイナーレ鳥取から中山仁斗選手(現/J2水戸ホーリーホック)と安藤由翔選手(現/J3カターレ富山)、福島ユナイテッドから星雄次選手(現/J2アルビレックス新潟)、韓国からユン・シンヨン選手、三幸秀稔選手(現/J1湘南ベルマーレ)らが入団。大学からは奥山政幸選手(現/J2町田ゼルビア)、篠原宏仁選手(現/JFLヴェルスパ大分)が加入。シーズン開幕に向け着々とチーム作りは進められ2月には宮崎キャンプが9日間行われました。最初のトレーニングマッチとなった横浜F・マリノスとの一戦は、とても興味深く見応えのあるゲームだったことを覚えています。2016年シーズンのJ2はレノファ山口と町田ゼルビアがJ3から昇格、J1から降格した松本山雅・モンテディオ山形・清水エスパルスの3チームを含め全22チームで42節を戦うこととなります。

2016シーズン選手&監督

 2月28日ホーム維新での開幕戦、対戦相手は中国ダービーとなるファジアーノ岡山。ファジアーノ岡山は、山口県出身岩政大樹選手がDFラインを統率し個の強さ・空中戦をベースに堅守を誇っています。J2昇格初年度の戦いを占う意味においても重要な試合でした。スタメンに名を連ねたのはGK一森純(現/J1ガンバ大阪)小池龍太(現/J1横浜F・マリノス)北谷史孝(現/J2ヴァンフォーレ甲府)宮城雅史(現/J3・テゲバジャーロ宮崎)香川勇気(現/J1大分トリニータ)鳥養祐矢(現/J2琉球)福満隆貴(現/J2ジェフ千葉)庄司悦大(現/J2京都サンガ)望月嶺臣(引退)島屋八徳(現/J2レノファ山口)岸田和人(現/J2レノファ山口)選手たち11名のオレンジの勇者、ベンチメンバーには村上昌謙(現/J1アビスパ福岡)、黒木恭平(現/J2京都サンガ)廣木雄磨(現/J2ファジアーノ岡山)、星雄次(現/J2アルビレックス新潟)、島川俊郎(現/J1サガン鳥栖)、安藤由翔(現/J3カターレ富山)、キャプテン・平林輝良寛選手ら7人。11000人を超えるファン・サポーターが集結した開幕戦でJ2初ゴールを決めたのは島屋八徳選手、後半に同点ゴールを奪われて引き分けとりましたがオール・レノファで価値ある勝ち点1をつかみ取りました。

レノファ山口FCのJ2初ゴールを決めた島屋八徳選手

 15試合が終了した時点で7勝3分5敗の戦績で7位、その後の6試合は2勝1分3敗と苦しみましたが前半戦21試合終えた時点で順位は8位をキープ、しっかりとした戦いが継続されました。

 これまでの勝ちゲーム、とりわけ4月23日のジェフ千葉戦(4―2)、5月15日のセレッソ大阪戦(4―2)、ワクワク感と感動は最高潮に達した試合となりました。チームに好調な流れを引き寄せた松本山雅戦での三幸秀稔選手からのパスに電光石火左足を振り抜いた原口拓人選手(現/JFLヴィアティン三重)の同点ゴール、ここから負けなしゲームが続きました。

 シーズン折り返しとなった後半戦初戦は7月10日。夏の維新劇場となったギラヴァンツ北九州との関門海峡ダービーは、ピッチで躍動したオレンジの志士たちにより5ゴールを奪い最高の週末となりました。幸野志有人選手(現/関東リーグ・南葛SC)の維新デビュー、先制点を決めた三幸秀稔選手、中山仁斗選手の圧巻ハットトリック、加藤大樹選手(現/J2モンテディオ山形)の魂のこもったゴール。これらを演出したのは前半から労を惜しまず全力で走り駆け上がった平均年齢23.8歳の若き選手たちです。

 8月7日、真夏のハード3連戦初戦となった町田ゼルビア戦では島屋八徳選手の技あり2ゴール、星雄次選手の逆転弾で勝利、町田市立陸上競技場に”ヤマグチ一番”が響き渡りました。

 続く8月11日に行われたセレッソ大阪戦ではクラブ史上最多入場者数14532人を記録しました。ゲームは決定力を欠き悔しい敗戦となりましたが、スポーツをする・見る・支えるという山口県ならではのスポーツ文化が確実に育ちつつあることを強く感じました。

史上最多入場者数14532人を記録したセレッソ大阪戦の試合後 サポーターへ挨拶

 天皇杯1回戦では東海大学熊本に勝利して臨んだ2回戦、レノファのJ1初挑戦となったアビスパ福岡との激闘は90分間では決着がつかず30分間の延長、さらにPK戦となり感動のラストシーンがピッチに描かれ”ヤマグチ一番”が博多の森に響きました。

 鳥養祐矢選手の先制弾、星雄次選手の延長終了間際の同点弾、守護神・一森純選手の冷静かつ闘魂セーブ。レノファ史上初の天皇杯3回戦進出を決めました。3回戦アルビレックス新潟戦、雨中での戦いは0-1と悔しい敗戦となりました。元レノファ戦士の小塚和季選手、山口県出身の田中達也選手も新潟の攻撃陣の中で存在感を示していました。J1チームと2試合戦った経験を糧とし、天皇杯4回戦進出は次年度以降に挑むこととなります。

 9月以降の11試合は1勝3分7敗、11試合のうち無得点ゲームが5試合、無失点ゲームはなしとチームは苦しみもがきながら苦難の終盤戦を戦い続けました。

 2月末から戦い続けてきたシーズン最終戦は11月20日、強い志で臨んだ水戸ホーリーホックとの一戦です。2016年メンバーで戦うラストゲームとなり、全員攻撃・全員守備を貫徹し0-2の完封勝利を飾りました。完封勝利の原動力となったGK一森純選手、DF小池龍太選手、ユン・シンヨン選手、奥山政幸選手、星雄次選手たちの頑張りも見事でした。レノファは一人が走り出せば連動して全選手が走るという走力と巧みなパスワークが発揮されたゲームでした。特に2点目はレノファの真骨頂である全力走と連続するパスワークでの福満隆貴選手のゴール。福満選手のドリブルも見事でしたが、島屋八徳選手、加藤大樹選手、小池龍太選手の3人が連動して駆け上がり相手DFを翻弄、レノファ・サッカーここにあり、持ち味を存分に発揮した最終戦となりました。

2016シーズン最終戦は水戸ホーリーホックと対戦

 J2初年度は14勝11分17敗・勝ち点53・得点55/失点63、12位で最終節を終えました。第10節終了時点では5位、第20節終了時点で8位、第30節終了時点7位、その後最終節までの12試合は2勝3分7敗と苦しみ厳しい戦いとなりましたが、レノファ戦士たちは勇猛果敢に42試合を戦い抜きました。

 シーズン後チームは来季のチーム編成に向け重要な時期となっています。サポーター・ファンにとっても日々監督・選手の去就が気になるところですが、最終戦直後には上野展裕監督の続投が報じられました。また選手たちの移籍・退団等が順次発表されており、試合観戦と同じように喜怒哀楽の日々が続きます。3年間レノファの右サイドを駆け上がり驚異的なスプリントでサポーターを魅了してきた”若き志士・小池龍太選手”のJ1柏レイソルへの完全移籍が決定しました。

 11年目のシーズンがファン感謝祭・シーズン報告会を終え全日程終了、レノファはJ2初年度を経験しチームの根は着実に張られてきており、これからは幹を成長させることとなります。

山口きらら博記念公園多目的ドームで行ったファン感謝祭では多くのサポータにご来場いただきました

 地域リーグ→JFL→J3→J2と歩み続けるJクラブ・レノファ山口の存在が地域の一体感や活性化、競技水準の向上、スポーツを支える人材の育成、マスコミ報道の増加など地域にもたらす効果は年々大きくなってきています。何よりも”夢・感動・元気”を共有できるチームとして存在していることが素晴らしいことです。

 J1昇格プレーオフ決勝及びJ2・J3入れ替え戦第2戦の結果により次シーズンJ2で戦う全22チームが決定しました。名古屋グランパス・湘南ベルマーレ・アビスパ福岡がJ1から降格、J3から大分トリニータが昇格することになり4チームが入れ替わりました。

上野監督4期目の指揮となる2017年シーズン、高みを目指してチームの挑戦は続きます。


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