明治安田生命J2リーグ 第4節
維新みらいふスタジアム
3月10日14:00Kickoff
レノファ山口FCは前節のアルビレックス新潟で惜しくも勝利は逃しましたが、しっかりと勝点1を奪取。今シーズンを占う「試金石」となる試合で流れの中からゴールを挙げたり、粘りのある守備を見せたりと一定の収穫がある90分間になりました。
充実した内容だっただけに「非常に悔しい引き分け」(名塚善寛監督)ではありますが、悔しさを今節の試合にぶつけて、勝点3にしてきたいですね!
今週のホームゲームで対戦するのはFC琉球です。昨シーズンからは少しメンバーが入れ替わり、サイドでの仕掛けやフィニッシュの形にも変化が感じられます。
琉球が採用しているフォーメーションは4-4-2。FWではレノファでプレーした草野侑己選手が先発しています。草野選手を含めFW陣はタイプがかなり異なり、誰が出てくるかによってはレノファの守り方も多少の変化があるかもしれません。草野選手はレノファ時代に見せていたようにスピードがあり、ボールコントロールのテクニックにも秀でています。
新戦力の野田隆之介選手は高さがあるだけでなく、ボール扱いも的確。2戦連続で途中出場している阿部拓馬選手は難しい高さの浮き球を巧みにさばいてシュートに持ち込むなど、レベルの高いプレーを見せています。さらに清武功暉選手はセットプレーのキッカーを担い、精度高くボールを供給するなど、いろいろな特徴を持ったFW陣が試合に出ています。彼らにボールが入りそうな状況になれば、レノファの守備陣は個々の特徴に合わせてラストパスやシュートを封じなければなりません。
ただ、いかなるFWが出てこようとも、彼らをゴールから遠ざけて、ボールに触らせないことが一番の理想。換言すれば、ずるずるとラインを下げさせられて、レノファ陣内で悠々とサッカーをさせてしまう状況だけは避けたいところです。勇気を持ってラインを上げるのはもちろんですが、押し込まれてストレスが溜まる状況であれば、大きく蹴り出してラインを上げ、もう一度高い位置からプレスを掛けていくということも手立てかもしれません。
レノファが攻撃をする局面では、今節は最初のパスに注目です。最近の試合では相手ボールを奪って攻撃に転じた際、最初のパスが少しずれて思わぬピンチを招くことがありました。受け手のポジショニングが悪かったり、出し手が準備の整っているレシーバーを見つけられなかったりと要因はいくつもありますが、トレーニングの中で修正は重ねてきています。それに、相手のフォーメーションが4-4-2だということに目を向ければ、なおいっそうパスの合う合わないが勝敗を分かつポイントになるでしょう。
前節は相手が「4-3-3」で、ボランチの両脇にスペースができやすいというお話をしました。実際に10.池上丈二選手、33.山瀬功治選手がそこでボールを受けようと動いていましたし、縦パスがばっちりと通る機会もありました。上述したように反省すべき点はありますが、4-3-3ゆえの攻防は確かにありました。
しかし、4-4-2の場合、ボランチの脇にはスペースがほとんどありません。受ける場所はディフェンスラインとボランチの間などの、いわゆる「ライン間」と呼ばれるエリアに移ります。ここにパスを出すのは決して簡単ではなく、点と点を合わせるような高い精度が必要です。
4-4-2のフォーメーションは極めてオーソドックスですが、強固なのは間違いありません。3バックのほうが守備的だとは言われますが、整った状態の4-4-2は斜め方向のパスにも対応しやすく、老獪なドリブラーがいたとしても、前後で挟み込んで動きを遮断できるなど、見えない網が張られているような強さがあります。
突拍子もない例えを言えば、スパイ映画やアニメでよくある赤外線センサーの間を縫って宝箱や基地中枢に進んでいくような感じです。パスカットされないためには、相手の身体が及ばない狭いコースを突く精度が求められます。
センサー網を恐れると4-4-2の外側でしかサッカーができません。その意味では、視野が広いボランチの8.佐藤謙介選手、センターバックから鋭くパスを出す6.渡部博文選手の経験値や精度が生きてくる試合とも言えるでしょう。攻撃に転じた時に、勇気と精度を持ってボールを送り出せるか。そこが今節の要点です。
ところで、レノファは開幕からの3試合でシュートそのものは多く放っていますが、シュートも精度面ではまだ不十分。あえて大きなシュートを放つ場面もあるにはありますが、全般的な改善は必要です。
3月8日の練習では全体練習が終わったあと、10.池上丈二選手や14.橋本健人選手、16.吉岡雅和選手、それに20.田中渉選手などがミドルレンジからのシュート練習を励行。GK役をしたのが通訳の畠本フェレイラ真之さんでしたが、シュートを外すと名塚善寛監督が自ら球拾いに行くというちょっとした緊張感も手伝って、それぞれの選手が競い合って精度を高めていました。
琉球は前節の試合でミドルシュートに対する寄せが遅くなり、2失点を喫しています。改善して試合に臨むものとは思いますが、レノファの選手たちもライン間でボールを受けたなら、まずはシュートを狙うという意識を持ってもよさそうです。シュート練習に臨んできた田中選手や池上選手が練習の成果を発揮できるかも大きな注目点です。
2週間ぶりのホームゲームはまた新たな特徴を持ったチームとの対戦です。これまでの試合とは戦い方で異なる面が出てくるとはいえ、良い試合の入り方をし、自らアクションを起こして自分たちの時間を作り、良い試合の閉じ方をするということに変わりはありません。おそれず、ひるまず、前向きにサッカーをやっていければ勝点3に近づけるはず。今シーズンの2勝目を目指して、またスタジアムが一つになって戦っていきたいですね!