明治安田生命J2リーグ 第2節
維新みらいふスタジアム
2月27日14:00Kickoff
開幕戦は惜しくも1-1の引き分けでしたが、レノファはボールを前から奪いに行ったり、積極果敢なパスワークでチャンスを作ったりと、見応えのある試合を繰り広げました。守備も攻撃も前向きに戦うという名塚監督のカラーがしっかりと表現できた試合だったと言えるでしょう。
また、フォーメーションも昨年とは異なる形を採用し、DFが4人、中盤が3人、最前線のFWが3人という「4-3-3」としました。このうち中盤は8.佐藤謙介選手、10.池上丈二選手、20.田中渉選手が流動的にポジションを入れ替えながら何度もボールに触ってリズムを作り、FWでは中央に13.大槻周平選手、ウイングと呼ばれる両サイドに新加入の16.吉岡雅和選手と19.沼田駿也選手を配置しました。
それぞれのポジションでうまくいったところもあれば、課題が残ったところもありましたので、第2節のブラウブリッツ秋田戦ではどのような顔ぶれとなるのかにも、まずは注目です。
対戦相手に目を移すと、秋田は強度の高いプレスを仕掛けるチームで、フィジカルの強さはJ2リーグでも際立った存在です。攻撃では長めのボールを前線に供給し、相手との競り合いを制してシュートに持ち込んでいます。端的に攻守においてフィジカル勝負をするというのが秋田の特徴と言えるでしょう。
なぜ強度の高いプレスを仕掛けようとするのかを考えながら、試合を読み解いていくのもおもしろそうです。
ハイプレスにはボールを奪い取ってすぐにカウンター攻撃に出て行くという狙いもありますが、相手にやりたいサッカーをやらせないという狙いも考えられます。どういうことかというと、仮にこの記事を読んでいるみなさんがDFのど真ん中のポジション=センターバックでボールを持っていたとします。
相手選手がボールを取りに来ない場合だと余裕がありますので、足下のボールを動かす選択肢はたくさんあります。近くにいるボランチにパスを出したり、両端を駆け上がろうとしているサイドの選手に飛ばしたり、いろいろと考えながらボールを送り出すことができるはずです。
でも、相手がボールを奪おうと前のめりに襲いかかってきたらどうでしょうか。うまく相手をいなさないと、ボールを失ってしまったり、苦し紛れのようなパスを出さなければならなくなります。私ならば慌ててボールを失ってしまうか、えいやぁ!と蹴っ飛ばしてしまうかもしれません。
これが相手にとっての狙いの一つです。激しくプレスに行くことで、パスの質を下げさせたり、ロングボールを蹴らせたりして、パスワークを封じることができるのです。レノファはボールをつなぎたいチームですから、それを防がれてしまうと非常にストレスの溜まる展開になり、相手の土俵でのサッカーになってしまいます。
もちろんレノファのセンターバックは相手をいなしてボールを出せる選手ばかり。6.渡部博文選手はどんな状況でも落ち着いてパスを出せますし、22.生駒仁選手も足下の技術が高く、しっかりと自分のリズムでプレーできれば、確実にボールを出して行けるでしょう。
他のポジションも同様です。全方向から襲いかかってきそうな相手のプレスをうまくかわし、ボールを動かせるように取り組まなければなりません。名塚監督は「球際の部分、戦う部分も逃げずにやらないといけません。メンタルの部分でも戦わなければ、絶対に秋田さんの試合になります」と強調。トレーニングでは切り替えの速さや球際の強度にも力点を置いています。
相手の術中にはまらず、プレスをはがしていければ、レノファがシュートまで持ち込める機会は多いはずです。シュートシーンでのクオリティーは高めなければなりませんが、攻撃の局面では臆せずに運ぶことが何より大事な試合となりそうです。
レノファにボールがあるときは、プレスをいなして前進していくことが大切だという話をしましたが、相手にボールがあるときは、どのような守り方をするべきでしょうか。
秋田は前線に武颯選手と青木翔大選手を配置する4-4-2のフォーメーションを組んでいます。前線の二人もフィジカルの強い選手たちで、強度の高いプレスを仕掛けるほか、自陣から飛んでくるロングボールを収めたり、背後へ抜け出したりして、シュートチャンスを広げています。
特に相手に多いのがロングボールです。自陣からFWの二人にボールを飛ばし、手数少なくゴールに迫るか、両サイドハーフに預けてクロスボールで得点を狙うような場面は多くなるでしょう。
ロングボールを使った攻撃に対しては、蹴らせないことと、蹴られても跳ね返すこと、さらには跳ね返したボールを回収することの3つの動きが必要です。当たり前といえば当たり前なのですが、意外と難しいプレーの連続。とりわけ跳ね返したり、セカンドボールを回収したりするには、正確な予測や陣形のコンパクトさが求められます。
熊本戦では失点した場面を含め、ひやりとした場面はいくつかありました。守備の連係がまだ深まりきっていないため、動きが整わない瞬間があるのは否めません。秋田戦でも連係がほつれてロングボールへの対応が甘くなってしまうと、失点直結のピンチを招いてしまうリスクがつきまといます。
秋田の特徴は選手全員が理解していると思いますが、連動して守ろうとするためには、現段階では渡部選手や21.関憲太郎選手が中心となって声を掛け、コンパクトさを保つことがとても大事。「後ろの声は神の声」とよく言われますが、ロングボールやカウンターを軸とする相手に対してもピッチ上の声が今節もカギを握ります。
これらのほか秋田のセットプレーやロングスローも警戒すべきポイントですが、試合全体ではレノファがボールを握る時間が長くなるはずです。ただ、フィジカルコンタクトの多いタフなゲームになりますので、きついときこそ応援の手拍子で選手たちを奮い立たせていきたいですね! 開幕戦よりもテンポ良く、質の高い攻撃を繰り広げ、秋田の強度に対してレノファも強度で上回って今シーズンの初勝利を掴み取りましょう!