VOL.4「サッカーは、人生だ。」
♯30 田中 佑治 YUJI TANAKA
2010年シーズンMDP(5/9号)に掲載された記事です。
レノファに頼もしいニューヒーローが生まれようとしている。
田中佑治、背番号30。入団2年目のMFだ。
今季初出場は第5節の宇部ヤーマン戦、後半途中からボランチとして投入されると、続く第6節のアウェイNTN岡山戦では初先発フル出場を果たした。入団以降、高い能力を評価されながらも出番に恵まれなかった田中であるが、ついにその力を発揮する時が来た。
小学生の時にサッカーを始めた田中はすぐさまその才能を開花。川上SS、川上中時代には全国大会へ出場する。「実は小学校でも中学でも全国に行ってるんですよ。宇部工高の時は国体メンバーに選ばれて碇野(#15)と一緒にプレーしました。レノファでまた一緒にサッカーするなんてね(笑)」強豪ひしめく九州大学リーグに所属する日本文理大学では三浦(#27)と同期にあたり、レノファへも同時に入団した。
「卒業したら山口に帰るつもりだったし、故郷の力になりたい思いがあったので『レノファでサッカーやろう』って決めました。だから就職活動でも山口県内の会社、しかも県外転勤が無い所に絞って探しました。」
社会人とサッカー選手を同時にスタートさせた昨年。本人の思いとは裏腹になかなか試合に出場することが出来なかったが確かな自信を失うことはなかった。そして巡ってきた今季初出場。
「仕事の関係で練習に行けない日が多くて…。でも、自信はずっとありました。試合に出られない時もゲームを見ながら『おれだったらこうするな』とか『こういう展開がいい』って常にイメージはしていました。だからこの前途中から出た時も準備は出来ていたし、あとはイメージ通りプレーするだけでしたね。」
持ち味は両足からの正確なミドル、ロングフィード。落ち着いたボール裁きで状況に応じたパスを供給する。
「両足でキックを使い分けることが長所だと思っています。宇部戦では狭い方に攻撃が偏っていたので逆サイドへ展開することを意識してピッチに入りました。でも個人的には出来はまだまだかなと…(苦笑)」
初先発となった前節では2得点に絡む活躍。試合を決定的なものとした安田のゴールも田中のスルーパスから生まれたものだ。チームの4連勝に大きく貢献するも本人には全く満足した様子はない。
「90分戦い抜く体力が課題ですね。後半に入ると運動量が落ちてしまったので。出来たことよりも出来なかったことを振り返るようにしています。課題を見つけて解決していきたい。」
サッカー選手として更なる成長に燃える田中も、普段は普通の会社員として働いている。繁忙期には退社が遅れ、平日の練習に参加できない日々が続いた。そんな日々を支えたのはサッカーへの熱い思いにほかならない。そしてサッカーと仕事の両立に向けた妥協なき姿勢を貫く。
「9時まで仕事があるとさすがに練習に行けないので、帰宅したらそのまま着替えて走り込みに行っています。一度座ってしまうとグッタリしちゃいますからね(笑)サッカーは小さい頃からずっとやってきているものだし、生活の一部みたいなもの。仕事もコミュニケーションなど学ぶことが沢山あるし、サッカーと仕事ってお互いに生かしていけるものだと考えています。今は充実していますね。そして本気でサッカーが出来るのは今のうちだけ。だから頑張れる。もっとうまくなりたい。」
真面目で多くを語るタイプではないが、心の中はサッカーへの情熱、そして周囲への「感謝の気持ち」で溢れている。
「山口県にはお世話になった人達が沢山いるし、恩返ししたいですね。職場の人達もサッカーが好きな人が多くて応援してくれています。親にもとても感謝しているし、プレーしている姿を見せたいなと思っています。あとはサポーターのみなさん、一緒に戦ってくれて本当にありがたい、パワーもらっています。『タナカユウジ』のチャントのリズムが大好きなんです。アツくなってきますね。横断幕ですか?あったら最高ですよ!もっと頑張れます(笑)」
田中には「最も尊敬する一人」と言う高校時代の恩師がいる。
「色んな高校を考えたけど最終的にはあの先生がいたから宇部工を選びました。」
そんな恩師から高校を卒業する際に贈られた言葉がある。
「サッカーは人生だ。」 以来、田中の大きな心の支えになっている言葉だ。
果たしてこの言葉の真意にどれだけ辿り着けただろうか。
歩みを止めるわけにはいかない。
田中はボールを追い続ける。
言葉の本当の意味が分かる、その日に向かって。
♯30 田中佑治(たなか・ゆうじ)
1987年1月23日生 山口県宇部市出身
172cm・64kg
ポジション:MF
前所属:日本文理大学
常に冷静沈着にプレー。両足から繰り出すフィードが最大の武器。選手、スタッフからの評価も高くポジション激戦区、中盤の先発争いに堂々と割り込む。

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